ボクはよく「日高屋」で食事をします。もちろん、できればそういった薄利多売の飲食店では食事をしたくないというのが正直なところなのですが、そこはお金がないのだから、若いうちはワガママ言えません。では、なぜ数多い安飯屋の中でボクは「日高屋」を選んだのでしょうか。それは、「日高屋」が、日本の飲食文化の欲望を忠実に叶えてくれるからなのです。

こんにちは、パリノメモの筆者をやっているジュロウです。ツイッターはこちらです(@Parisnomemo_)。
とつぜんですが、お酒の「飲み方」について考えたことはありますか?
水割りとかロックとかストレートとかそういう話ではなく、食事のどのタイミングに「飲酒」の立ち位置があるのかということです。
友人と飲みにいくシーンを思い浮かべてみてください。居酒屋でビールで乾杯、揚げ物や刺し身、酒がよくすすむつまみと一緒にお酒を飲んで、そろそろ帰るかなと外にでたら、最後に締めのラーメンを一杯……。
ごく普通の日常シーンなのですが、西洋人が体験したらとてつもない違和感を感じることでしょう。「えっ?居酒屋で食事したのに、またラーメン屋行ってなにか食べるの!?!?」って。
そう、西洋人にとっては居酒屋に行くこともラーメン屋に行くことも同じ「食事」なのですが、ボクたち日本人にとっては居酒屋は「飲酒」をする場所であり、ラーメン屋は「食事」をする場所なのです。日本文化では、「飲む行為」と「食べる行為」が明確に区別されているといえるでしょう。旅館の宴会場で飲酒をしていたら、「そろそろお食事にしますか?」と聞かれ、お酒をさげられると同時にご飯物を持ってこられるなんて、みんな経験があることですよね。

白米と食べるものは「おかず」と言い、お酒を飲むときに食べるものは「酒菜」というように、あるいは白米と飲むものを「汁物」と言い、お酒と一緒に出されるものを「吸い物」と言うように、日本の飲食文化では「飯」と「酒」が完全に区別されています。
すごいわかりやすく言うと、白米をつまみにビールなんか飲めませんよね?
さて、このことを踏まえたうえで、いよいよ「日高屋」の魅力について語りましょう。
ご存じのとおり「日高屋」とは中華料理を格安で食べられるチェーン店です。「中華そば」はなんとたったの390円であり、餃子は6枚で210円です。生ビールはなんと310円。

「日高屋」、公式HP。
そんな「日高屋」の最大の魅力は、ローコストで、「食事」と「飲酒」を分ける日本の飲食文化を忠実に再現できる柔軟さです。
ビールと餃子を頼んでみましょう。居酒屋での「飲酒」の再現です。その次にラーメンを頼んでみましょう。ラーメン屋での「食事」です。合計910円で居酒屋での「飲酒」と「食事」を再現してしまいました。もちろん、飲み足りなければビールをもっと頼めばいいし、つまみが足りなければその他にから揚げや炒め物だってある。一か所に座りながら、日本の飲食文化を自分好みにオーダーメイドできるのです。
ボクのおススメは「ダブル餃子定食」。「白米+餃子12枚+スープ+キムチ(orから揚げ)」の充実度で620円。これにビール一杯で合計930円です。

まずは、餃子を4,5枚食べながら、たまにスープをすすり、キンキンに冷えたジョッキビールをぐびぐびと飲み干し、残りの「餃子+キムチ+スープ」でお腹がいっぱいになるまで存分に白米を平らげる。「酒菜」と「吸い物」で酒を嗜み、それらがそのまま「おかず」と「汁物」に変化して白米を楽しめる。最高にクールに日本の飲食文化を享受できるのです。
食べること・飲むことを少し真剣に考察してみたら、人によってはただの安飯屋でしかない「日高屋」が一気に「日本文化享受装置」にまでその地位を高めました。
飲食を学問することは、ボクにとっては日常を豊かにしてくれる大事な営みなのです。
「ヒビノメモ」というカテゴリーを追加しました。
ボクの日々を「メモ」します。
つまり日記。