【最新版】フランスのAuto-entrepreneur(個人事業主制度)を徹底解説

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こんにちはマエダジュロウです(@Parisnomemo_)。

フランスで働いてみたいと考えているみなさん、フランスのAuto-entrepreneur(個人事業主制度)って知ってますか?

小規模なスモールビジネスを手軽に始められるとっても優れた制度なんですが、現在あるネット上の情報は古かったり、いまいち分かりづらい直訳文だったりするのでここでもう一度まとめてみたいと思います。

自分のスキルや能力を使ってフランスで仕事をしたいという人は必見です!

 

そもそもAuto-entrepreneur(個人事業主制度)ってなんだ?

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制度のおおまかな概要

Auto-entrepreneur(個人事業主制度)とは、2009年にフランスで施行された、小規模な個人ビジネスを簡単に始められるシステムのことです。簡単な開業(起業)宣言で、すぐに合法的な営利活動ができるようになったというわけです。

この制度の導入のおかげで、2009年以降のフランスにおける起業数は爆発的に上がりました。前年(2008)と比べて、なんと75.1%の増加だとか。爆増もいいところですね

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フランスにおける企業種別の開業数:INSEE資料を訳出

ピーク時である2009年や2010年に比べると開業数は減少傾向にありますが、それでも毎月4万件を超える開業数を維持していて、フランス全土の個人事業主は全部で100万を超えます(2016)。

後に説明するように、企業を悩ます社会保障費や所得税の計算も、稼いだらその売り上げに応じて一定の割合を支払えば良いといった具合に大変単純化されています。その意味で運営が比較的楽な企業種といえますが、売り上げに上限が定められているため決して万能ではありません。

よって、この制度をざっくり表現すると「開業が簡単・運営が簡単・売り上げは上限あり」といった具合に、まさにフランス起業界のファーストフード的存在といっていいでしょう(?)

 

誰のための制度?

そもそもこの制度は、なんのために施行されたのでしょうか?

他の多くの国の制度がそうであるように、基本的にはこのAuto-entrepreneur(個人事業主制度)は、行政側にメリットをもたらすために施行されました。

というのも、ネット上で簡単に開業届けを出すことができるため、行政側の管理が楽になり、しかも今まで事業登録をせずに行われていたスモールビジネスを統制できるようになったため、漏らすことなくスモールビジネスから税金を徴収できるようになったからです

しかしながら、この制度が行政側ではなく国民側にメリットをもたらしているのもまた事実です。

まず、どんな小規模なビジネスでも開業届を出して合法的に行うことによって、クライアントからの信頼を勝ち得ることができるようになりました。だって、事業登録もしてない人と商取引をするのってなんだか怖いですもんね。

それに加え、フランスの滞在許可証(※ワーキングホリデーを除く)さえ所有していれば学生や外国人を含めた全てのフランス滞在者がこの制度を利用することができるため、ぼくたち外国人からしてみれば労働許可無しにフランスで合法的に収益を生み出すことができるのです。

明瞭で実現可能なビジネスプランだと判定されれば個人事業を開業することによって、滞在許可証を「学生」から「個人事業主」へとステータス変更することも可能であるため、学業を収めたあともフランスで働きたいと思っている留学生たちには朗報ですね

 

2016年からは「Micro-entrepreneur」に名称変更!

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さて、これまでにフランスにおける個人事業主のことを「Auto-entrepreneur」と呼んできましたが、じつは2016年からはその名称が「Micro-entrepreneur」に変更となっています。

体制の基軸は変わっていませんが、2016年1月1日以降に個人事業主登録をした人の社会保障費の支払いが、Micro-sosialeという売り上げ金額に対する一定負担率をかける方法に固定されただけです。

いまいちわかりづらいのですが、ひとまずは「Micro-entrepreneur」は「Auto-entrepreneur」をさらに単純化したものであると考えれば大丈夫です

これを知ってるか知らないかでなにか損するようなことも特にないので、いまだに一般的には「Micro-entrepreneur」ではなく「Auto-entrepreneur」という名称が広く認知されているようです。

 

どんな業種が認められているの?

さて、そんなAuto-entrepreneur(個人事業主制度)ですが、実際にはどんな業種が認められて、具体的にどのような仕事が考えられるのでしょうか。

認められている3つの業種

個人事業主は、ほとんど全ての業種の仕事を行うことができますが、それらま大まかに3つに分けられます。商工会議所より引用してみましょう。

① 販売業(Les activités de vente)

この業種の主な軸は、「モノの販売」にあります。たとえ販売するものが電子データなどの非物理的なものであってもこの業種に該当します。

② サービス業(Les activités de prestations de services)

この業種の主な軸は、商品としてなにか「モノ」を売るのではなく、サービスを提供することにあります。よくある例として、顧客に代わってなにかしらの問題(PCの故障など)を解決することなどが挙げられます。

③ 自由業(Les professions libérales)

この業種は、すべての知的活動(相談・教育など)に当てはまります。顧客の代理として何かを行うサービス業とは異なって、自由業はあくまで顧客に方法を指示するだけにとどまります。

商工会議所(CCI DE FRACE)より

大半の仕事がこれら3つの分類に当てはまるでしょう。

なぜ、こうして業種を3つに分類するかというと、業種別に負担金率が異なってくるからです。それぞれの負担金率に関しては、下のほうにある「どんな負担金を払わなきゃいけないの?」で説明します。

 

推奨されない業種

さて、簡単に始められて、簡単に運用できて、ほとんど全ての業種の仕事をできるとなると、Auto-entrepreneur(個人事業主制度)は完璧な制度であるかのように思えますがじつはそうではありません。

というのも、この制度にはいくつかの弱点があるからです。その最大の弱点は、業務上で必要となる諸経費(交通費・宿泊費・仕入れ代など)を計上することができず、損金算入することができないからです。つまり、売り上げ全体に負担金をかけられてしまうのです。

それゆえに、以下のような2つが、個人事業として認められにくい業種の典型例となります。

① 店舗を構えた商業活動

→ 店舗を構えた場合、家賃や光熱費なども経費として損金算入することができないため、それらにもすべて負担金がかけられてしまうことになります。よって、ビジネスプランとして難ありです。

② 従業員を雇う商業活動

→ 従業員を雇った場合、その従業員の給料や社会保障費なども経費として損金算入することができないため、それらにもすべて負担金がかけられます。よって、難ありです。

 

具体的にどんな仕事ができるんだろう?

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ここまでに、Auto-entrepreneur(個人事業主制度)としてどういった業種の商業活動を行えるのかその概要を見てきましたが、具体的にはどんな仕事ができるのでしょう?いくつか例をあげてみます。

※細かい状況によってどの業種に当てはまるかは異なってきますので参考程度にされてください。

 

例1)布を仕入れて服を作って売る。

実際にモノを売っているため、これは販売業に当たります。ただし、服を作る行為を服飾やデザインと見なすことができれば、サービス業の性質を得る可能性もあります。状況によります。

例2)フランス人学生に日本語を教える。

これは、自由業に当てはまる可能性が高いです。モノを売っているわけでもなく、なにかサービスを提供しているわけでもなく、あくまで「指導」をするにとどまっているからです。

例3)Uberに登録して運転手になる。

これは、サービス業に当てはまるでしょう。車を持っていればUberに登録してササッと個人事業主になれてしまうのです。車だとハードルが高いと思うので、レストランの配達代行である「Ubers EATS」なんかは自転車があればすぐできますね。

例4)PCを修理する。

これは、列記としたサービス業です。要は、顧客に代わってなにか専門的なサービスを提供しているわけですね。

例5)ライター&ブロガーとして収入を得る。

これも、サービス業に当たるでしょう。なにかモノを売っているわけでもなく、かといって、なにかを指導しているわけでもなく、自分のスキルを活用して顧客にサービスを提供しているのです。

 

どうやって登録するの?

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Le portail des auto-entrepreneurs

簡単なネット登録であなたも個人事業主?

Auto-entrepreneur(個人事業主制度)の登録はとっても簡単です。

開業するにあたって、なにか「許可」を取得しなければならないわけではなくて、単に「宣言」をすればいいだけだからです。

個人事業の開業宣言をしてくれる人は、フランスという国にとって税収源となるため、むしろ歓迎というロジックです。

 

ネットで登録する場合は、基本的に Le portail des auto-entrepreneurs にて行われます。

ただし、服飾や理髪、調理、修理などの手工業(職人業)の場合は CFE métiers にて登録することになります。

 

詳しい登録手順

※ 準備中 ― 後日まとめて公開します。

 

どのくらい稼いでいいの?

すでに軽く触れたとおり、Auto-entrepreneur(個人事業主制度)は、定められた売り上げ上限に従って事業を行わなければなりません。大金を稼ぐ能力があっても、なりふり構わず稼いでいいわけではなく、この制度はあくまで小規模ビジネスを行う者に対して向けられたものなのです。

定められた限度額

売り上げ限度額には2種類あります。

まず、モノの売買を軸とした商業活動(販売業)の場合、売り上げ上限額は82,800ユーロとなります(2017年1月より)。一見スモールビジネスには見えない金額ですが、仕入れ値などが発生する販売業においてはそんなに大きな額ではありません。

つぎに、その他の業種(サービス業や自由業)の場合、売り上げ上限額は33,100ユーロとなります(2017年1月より)。仕入れなどが必要のない業種のため、販売業に比べ上限が大幅に下がっていますね。

 

※ ちなみに、2016年12月までは販売業の上限が82,200ユーロ、その他が32,900ユーロでした。

 

どんな負担金を払わなきゃいけないの?

さて、個人事業主を悩ますのは売り上げ上限だけではありません。稼いだら払わなければならない負担金があるからです。

個人事業主が国に対して払わなければならない負担金は大きくわけて社会保障費と所得税の2つがあります

社会保障費

社会保障費の負担率は業種によって異なります。それぞれ見てましょう。

 

まず、販売業の場合、負担率は13.1%になります。

つぎに、サービス業の場合、負担率は22.7%になります。

最後に、自由業の場合、負担率は22.5%になります。

 

お気づきの通り、けっこう高いです。たとえばサービス業で月2,000ユーロ稼いだら、その22.7%である454ユーロが持っていかれてしまいます。

ただし、これはあくまで売り上げがあった場合にかけられる負担金であるため、売り上げが0ならば支払う必要はありません。よって、開業自体はノーリスクで行うことができるため、これは大きなメリットであるといえるでしょう。

 

所得税

所得税の計算は、総売り上げから一定の割合を控除してから行います。ちなみに累進課税です。

詳しくいうと、販売業の場合は売り上げから71%を、サービス業の場合は売り上げから50%を、自由業の場合は34%を控除して、残りの金額に累進課税をします。

 

なお、一定の条件をクリアすれば Prélèvement libératoire という、よりシンプルな所得税計算を選択することができます。

これは売り上げから一定割合を控除する行為を省略して、総売り上げに1%(販売業)、1.7%(サービス業)、2.2%(自由業)の税率をかけるといったシステムです。

どちらのシステムのほうが得をするかは事業の状況によります。詳細の説明はまた今度まとめます。

 

まとめ:フランスにおける個人事業のメリット&デメリット

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ここまでに、Auto-entrepreneur(個人事業主制度)の概要をざっと見てきましたが、最後にこの制度のメリットとデメリットを改めてまとめてみましょう。

Auto-entrepreneur(個人事業主制度)のメリット

・ネット登録と簡単な手続きですぐに始められる。

・売り上げがなければ負担金を払う必要はないため、ノーリスクで事業を始めることができる。

・労働許可のない外国人でも、滞在許可証さえあれば(ワーホリ除く)フランスで働くことができる。

・(留学終了後も)ステータス変更して、フランスに残り続けられる可能性がある。

 

Auto-entrepreneur(個人事業主制度)のデメリット

・売り上げに上限があるため、大規模な事業は行えない。

・経費として損金算入をすることができないため、展開困難な事業(店舗経営や従業員雇用)がある。

・企業に正規雇用された正社員ほどの労働者権利は得ることができないため、安定はしない。

いかがだったでしょうか。

Auto-entrepreneur(個人事業主制度)は概要を捉えることは簡単ですが、いざ事業を運用してみようとすると不明なことがたくさんでてくるでしょう。そのうち、フランスにいる日本人の個人事業主同士、情報の交換を図れるプラットフォームなんかもこのブログに設置できたらなと思っています。どのくらい需要あるのかな?

それではまた!

 この記事へのコメント

  1. 土田真也 より:

    現在、日本語教師をしております。制度発足当初よりいづれはと考えていたのですが、いよいよ必要になってきたのでこちらのブログを拝見しました。Auto-entrepreneur制度に関して概要が分かり易くまとめられており、大変参考になりました。現在はMicro-entrepreneurという名称になっていたのですね。
    因みに武道指導やスポーツインストラクターなどでの収入はどういう扱いになるのでしょうか。

    • parimo より:

      初めまして。どの商業活動がどの業種に当てはまるかは、実際の活動内容によって定義が変わってきますので、こちらでは推測しかできず、たしかなことを申し上げることはできません。

      ただ、Éducateur sportif auto-entrepreneurなどと検索をされてみると、官民双方のサイトに多くの情報がのっておりますので、そちらを参照されつつ、ご自身の活動がどれに当てはまるのか、あるいはどれに「当てはめられるのか」をご検討されることをおすすめいたします。この記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。

  2. 安藤 より:

    こんにちは‼
    私も質問させていただいてよろしいでしょうか?

    私は現在、日仏カップルで結婚して専業主婦をやっています。
    自分の得意なものを、ちょっとビジネスに出来たらいいな~と思い、
    こちらの制度がすごく有り難く思っているのですが、
    彼に話したら、扶養から出なくてはいけなくなり、
    保険料が年に数千ユーロかかるようになると言われましたが、
    その通りでしょうか?

    どこを探しても、そのケースのことを書かれていなかったので、質問させていただきました。
    上記に書かれているように、結局売り上げが上がったら主払う、ということでいいのでしょうか?
    少なくとも数ヵ月は、売り上げがゼロの予定です。(間違いなく)
    それでも医者にはかかれるのでしょうか?

    とりあえず、起業して、しばらくはそのままほかっておく状態です。
    事情があり、起業している実態が欲しいため。
    ですので、売り上げはゼロですが、それでもリスクはないのでしょうか?
    そうなると、社会保険料は支払っていないことになってしまいますが、
    医者にはかかれるのでしょうか?

    長くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします。

    • parimo より:

      申し訳ございませんが、現在こちらで法的な質問は受け付けておりません。すべてケースバイケースなので、自分が責任をとることができないからです。最善の手として、商工会議所などの専門機関に問い合わせをされてみてください。

      現在、多くの方から、質問をいただき、とても無償では答えきれないので、各自が情報を共有できるプラットフォームたるものを設置しようか検討中です。

  3. 安藤 より:

    さきほど質問させていただいたものです。
    再度確認させていただきましたら、
    「社会保証」でしたね。

    では、やはり、個人事業主になったら、
    扶養から出て、一人前に保険料を払わなくてはいけないのでしょうか?

    そこがネックで、事業登録出来ずにいます。
    よろしくお願いいたします。

  4. 重藤 みゆき より:

    はじめまして!
    いつも拝見しております。

    質問なのですが、現在、主人がフランスで雑貨などの輸出入のビジネスを個人事業主として始めたいと考えているのですが、該当するビザは何に当たるのでしょうか。

    記事の中にはワーホリを除いて滞在許可さえあれば始められるとありますが、大使館のサイトを見ると、ビジタービザは就労不可と条件がありますが、就労ではなく個人事業主なのでビジタービザで可能なのでしょうか。

    お忙しいとは思いますが、大使館に問い合わせても何の回答も得られないので、教えて頂けたら大変助かります!

    • parimo より:

      大使館は基本的に電話やメールでの問い合わせには答えてくれないようです。直接出向くしかありません。自分も弁護士ではないので、明確なことはいえませんが、ここでいう「就労」とは、文字通り、就労=つまり雇用されて働くことだと思うので、問題ないと思います。個人事業主は、雇われているわけではなく、自力でお金を稼ぐ形態なので。ただ、状況によると思いますので、あくまで参考程度に。大使館からの回答などありましたら、教えてくださいね。

      • 重藤 みゆき より:

        丁寧なご回答ありがとうございます。
        直接大使館に出向いて訊いてみます。
        ハッキリと分かりましたら、こちらでコメントさせて頂きますね!

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