【DALF】大学生でC2に合格 ― その経緯と秘訣をインタビュー

志村響さん(canal cafeにて)

フランス語能力を証明する試験の中でも、その頂点に君臨するDALFのC2に合格するにはいったいどうすればいいのでしょうか。今回は、大学生にして見事C2に合格した志村響さんに、その合格の秘訣をインタビューしてみました。

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こんにちは、ジュロウです。

フランス語を学ぶ人であれば、誰しもが、なにかしらのフランス語能力試験を受けることになるかと思われます。

そんな中、多様にある試験のうち、DALFのC2クラスだけは別格とされ、最難関となっています。

そこで今回は、フランス語能力試験の中でも最難関といわれるDALF・C2に、なんと大学生にして合格を果たした志村響さん(現役外語大生)へのインタビューを実現させました。

志村響さん(canal cafeにて)

志村響さん

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こんにちは、マエダジュロウです(@Parisnomemo_)。 フランス語学習を始めるときにまず第一に必要になってくるもの、それが辞書。 ...

フランス語能力試験、DALF・C2とは?

DELF/DALFは、フランス国民教育省が唯一認定した公式のフランス語資格として有名ですが、それらは6段階のレベル(下から順にA1, A2, B1, B2, C1, C2)に区分けされています。

C2クラスは、言うまでもなくこの試験の頂点に区分されていて、つまり、C2に合格することは、「フランス語マスタークラス」の肩書を手に入れることと等しいといえるでしょう。

DELF/DALF試験管理センターは、C2のレベルを以下のように説明しています。

DALF C2レベルでは、言語への熟練が、表現の正確さや適切さ、流暢さに現われます。受験者は学術的な、あるいは高度な課題を実現することができます。

試験管理センター

C2の試験形式は2部門に分かれていて、非常にシンプルです。1部門では、長文読解をしたあと、それに関して記事や社説を書きます(210分・50点満点)。続いて、2部門では、15分程度の音声資料を聴いたのち、その内容についてまとめたうえで自分の見解を面接官にプレゼンします。さらにその後、そのプレゼン内容に関して面接官から質問を投げかけられるので、それに回答します(プレゼン+質疑応答で30分・50点満点)。2部門を合計して50点をとれば晴れて合格となります。

非常にシンプルなわけですが、社説を書いたり、15分の音声資料をもとにプレゼンをしたりと、日本語でもしっかりと勉強しないと無理ですよね…。それを外国語であるフランス語で行うのが、C2なのです。

 

ちなみに、ボクは大学生のころ、ほぼ記念受験のような心持ちでC2を受験したことがありますが、100点満点中、10点程度しかとれず惨敗しました(合格点は50点)。受験をした際、受付の方に、「大学生なのにC2に挑戦して偉いですね」と言われたことを鮮明に記憶しています。

結局、ひとまずC2は無理だと判断して、C1を受けることにしましたが、その話はいくつかの記事で紹介しています。

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フランスの大学院に進学予定であるにも関わらず、フランス語がいまだに苦手であるボクが、フランス語上級者試験DALFのC1に合格するまでの過程を、「...

 

 

C2合格者、志村響さんのフランス語歴は?

さて、「大学生なのに偉いですね」と激励されるほどの試験がC2なわけですが、なんとそのC2に大学生にして合格された方がいました。

今回は、大学生合格者である志村響さんへのインタビューを実現させたわけです。さっそくインタビュー内容をみていきましょう。

志村さんのフランス語歴

Q. C2を受験されたのはいつですか。

A.

C2にチャレンジしたのは、昨年(2015年)の春季試験でのことです。その前年にC1の試験に落ちていたので、なんとしても受かりたい反面たいした自信もなく、7月に届いた合格通知を見ては心底歓喜したのを覚えています。

 

Q. 志村さんがC2に合格するまでのフランス語歴を簡潔に教えてください。

A.

初めてフランス語に出会ったのは2012年の夏で、大学一年生の時でした。ふとしたきっかけからその翌年の春にフランスに短期滞在できることが決まり、どうせ行くのならと、第二外国語として履修していたドイツ語の傍ら独学で始めたのが最初です。

半年後、フランスに渡った折、そこで終始お世話になった先生から今度は留学の話をもらいました。少しの間悩みましたが、直観を信じて、2013年の夏から留学をスタートしました。

フランスでは一年間、レンヌという街の語学学校に通いました。入学の際クラス分けのテストがあるのですが、筆記試験のみの実施とあって、日本人にありがちで読み書きに長けていた僕はいきなりB2のクラスに入れられることになりました。B2というと簡単なコミュニケーションはみんなもう難なく出来るといった具合で、最初はかなり苦労しました。ですが今思えば、あの時、自分のレベルに釣り合わないくらいのクラスに入れたことは幸運なことでした。
後期からはC1のクラスに進むことになりましたが、フランスでの生活にも語学学校そのものにも慣れてしまったので、前期より高度な内容にも関わらず、学校の授業には少し退屈していました。そこで、フランスにいる間にDALFのC1を受けてみることに決めました。B2は間違いなく受かるだろうし、C1も多分いけるはずだと、当時の僕は高を括っていました。それで録な対策もしないまま試験に挑んだ結果、48点という点数(合格は50点)でまんまと落ちました。

自分では出来るようになったつもりでも、結局、語学学校のディプロムしか持って帰れないと分かり、僕は途方に暮れました。しかしこの経験が後に大きなバネとなり、C2受験を決めるきっかけとなりました。

留学中の志村さん

留学中の志村さん

 

Q. フランスへ1年間の交換留学をされたということですが、留学中、フランス語向上のために最も意識されたことはなんですか。

A.

よく、人から発音を誉めていただくことがあるのですが、それは留学中に出来るだけ発音に気を付けていたからだと思っています。文法はもちろん大事ですが、それだけでは話せるようにはなりません。正しく身につけた文法を実際に理解に役立て、自分の発話に活かすためには、正しい発音の習得が欠かせないというのが個人的に思うところです。

意外かもしれませんが、発音の練習の成果が最初に出るのはおそらく聞き取りにおいてです。ちゃんと発音しようにもちゃんとその音を聞き取らないことには始まらないので、自ずと神経が研ぎ澄まされますし、自分で発音できるようになった音はいっそう聞き取りが楽になります。そして上手く発音が出来るようになれば、相手に誤解させる心配もなく、コミュニケーションが円滑になります。

あとは、とにかくたくさん話すことを心がけていました。授業中というのは思いのほか喋る機会に恵まれないので、とにかく友達と会って、たくさん話して、自分の発音に注意しつつ、ひたすら言葉をひねり出すことをしました。多分、英語やフランス語を勉強した人なら誰もが経験することですが、日本語の語順の束縛を抜けてヨーロッパ系の語順に慣れるのは簡単なことではありません。ある意味スポーツや音楽と一緒で、とにかく繰り返すことで体に染み込ませるほかにはないような気がします。

 

C2に向けてどのように準備したか

勉強方法

Q. C2受験にあたって教材は使用されましたか。

A.

市販のテキストを参考に勉強しました。日本語での対策本は出ていないため不便ですが、飯田橋などにあるフランス書籍の置いてある本屋へ行くと、DELFやDALFの対策マニュアルを入手できます。すべての教科書に目を通した訳ではないので大げさなことは言えませんが、やるべきことはそれほど変わらないような気もします。というのも、C2は筆記と口頭の2部構成と、いたってシンプルだからです。C2の方が4部構成のC1よりも受かりやすいと言う人たちがいるのも納得がいきます。

Q. 受験にあたってなにか戦略はありましたか。

A.

誰に対してもオススメできる訳ではありませんが、C2を受けようとした時、僕は筆記の対策しかしませんでした。2つのパートでそれぞれ最低10点で合計50点以上で合格ということは、筆記で高得点を取れさえすれば、いくらオーラルが低くてもそれが10点を下回らない限りは受かる、ということです。汚いかもしれませんが、あと2点で受かったはずのC1をいっそ受かったことにして飛び級でC2に喰らい付いた僕にはもう後がなかったのです。「だから大人しくC1受けとけばよかったのに」と言われないためにも、なんとしてもC2に受かってDALFとの因縁にケリをつける必要がありました。

また、貴重な時間を何に充てようと考えたとき、それをオーラルに費やすのはあまり意味がないと判断しました。というのも、オーラル試験にはリスニングも含まれているのですが、音声資料のリスニングが正直に言って滅茶苦茶難しいからです。数ヶ月の準備でどうにかなるものではないし、そもそも一年間の留学のおかげである程度もう耳は慣れているので、そこからの伸びしろを考えると期待できるものは小さいです。「質疑応答・討論」も、もはやこれはコミュニケーションなので、それまでに培ってきた自分のフランス語力を頼ることしか僕には出来ませんでした。10点取れればいいのだから、それを確信する図々しさは頭を冷やした僕にもありました。しかも、聴解の試験と言うわりにいちばん多く時間を割かれているのは「レジュメの作成」です。ここで求められているのは、筆記試験で求められるものと同じといっても言いのではないでしょうか。

C2の合格通知

C2の合格通知

 

Q. 50点満点中、40点をとられた筆記試験に向けてどういった対策をとられましたか。

A.

筆記試験では、三時間半にわたる長い制限時間の間に、何個かのテキストを読んだ上でそれを一つのテキストにまとめ上げるいわゆるsynthèse (サンテーズ)という作業を行います。一文一文の細かい文法は日ごろの積み重ねに依るとしても、文章全体の「構成力」ついては短期間での習得の余地があります。平たく言うと、「点を取りやすい書き方」というのがあるのです。また、親切にも、DELF・DALFのマニュアルではそれをかなり丁寧に掘り下げてくれています。

より具体的にいうと、それは「フランス語的なロジック」ということになります。フランスでは、義務教育の過程からすでにサンテーズを習います。フランス語はフランスではもちろん「国語」なわけですが、日本の国語の授業で習うような文章の書き方がフランス語にもあって然るべきです。

フランス語は論理を重んじる言語であるだけに、フランス語で書かれた文章もそれに伴う精緻なロジックを要求します。それがフランス人の「好きな」文体となり、その文体を実現できれば点数は稼げるとも言えます。しかも、この「点を取りやすい書き方」はわりと短期間で身につきます。マニュアルに示された枠組みに従ってとにかくたくさん文章を書いてみると、その構成の裏にある思考の順路もなんとなくわかるようになります。

苦労した点

Q. C2の準備にあたって、もっとも苦労されたことはなんですか。

A.

苦労したというより不安だったのは、試験の出題テーマです。筆記はもとより、リスニングで自分にまったく馴染みのないテーマが出題されてしまうと、何を言っているのかさっぱりわからない…ということにもなりかねません。僕が受けた回のテーマは、筆記・オーラルどちらも通信教育に関わるものだったのですが、教育は少なからず興味のあるテーマだったので何とか応戦することが出来ました。本当にこればっかりは運としか言いようがないので、実力が十分に出し切れるかどうかは“Ça dépend”ですね…。僕はツイていたのかもしれません。

 

今後の目標

Q. 晴れて、フランス語能力試験の最上級部門に合格されたわけですが、今後の目標はなんでしょうか。

A.

現在、個人的にフランス語を教えるという経験をいくつかの場所でしています。将来的にはフランス語の教師というのも考えているので、その練習になるだけでなく、教えることで逆に気付かされることも山ほどあります。また、現在大学で勉強している言語学が、予想以上にフランス語を教えることにも役立つということも実感しているので、今後はそれをどうやったらより語学の学習に活かせるかを考えていきたいです。

 

これから受験する人へのアドバイス

Q. これからC2を受験する人に向けて、なにかアドバイスをください。

A.

C2は試験形態としてはいたってシンプルです。ただ、その分シンプルな作業に耐えうる体力と忍耐力、それから柔軟性が必要になります。筆記試験では三時間半かけて最低700単語以上のテキストを書くわけですが、相当な集中力がなければまとまった文章は書けません。僕の場合、計算して書いていたつもりだったのに670単語くらいのところで結論に達してしまい、かなり焦りました。しかし、そこで少し文体を変えて、よりフラットな口調で第二の結論を書き足して語数を間に合わせるという力技に頼ったのですが、それが案外高得点に繋がったのかもしれないと思っています。
   また、C2ではすべての場面で仏仏辞書の使用が許可されています。つまり、知識や語彙の量は問題ではないというところで、仏検とは大きく志向が異なります。自分の限られた語彙の中でどれだけ上手く表現できるか、そしてそれの完成度が問われます。個々の文法に注意を払いながらも全体としてまとまっている文章を書けるか、個々の発音に気を付けながらも全体として自然なイントネーションになっているか、そういうところが見られるのでしょう。結局のところ全部大事というと元も子もないですが、出来るだけ弱点をなくしてバランスよく勉強することもやはり必要なのだと思います。

 

Q. あらためて、C2に合格された感想をお聞かせください。

A.

一次試験(筆記)を終えた時の感想は、何より「疲れた」の一言に尽きます。その時の気持ちは「受かりたい」よりも「こんな試験二度と受けたくない」というのに近かったです。筆記はある程度手応えがあったのですが、翌月に受けた二次のオーラルは正直あまり自信がなかったので、合格発表までずっとハラハラしていました。しかし、受かると思っていたC1で落ちたのと同様、今度は落ちると思っていたC2に受かったので、嬉しかったのもそうですが、とにかくほっとしました。これでフランス語に関して言えば目標という目標はなくなったわけですが、終わりがないのが言語学習でもあるので、そのつもりでもっと上を目指せればと思います。

 

 

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もちろん、たとえばフランスに留学に行くだけであれば、たいていの場合はC1だけで、十分な語学証明になります。しかし、どうせフランス語を学ぶからには、その頂点を目指してみるのもいいかもしれません。自信もつきますし、学習モチベーションにもなりますし、それに、なによりC2ほどのレベルになれば、フランス人との議論がよりいっそう楽しくなるかもしれません。ボクもいずれC2に合格できるよう日々フランス語の勉強に励みます。

2015年度コンクール当日。左がパリノメモ筆者、右が井上遼さん。
毎年、日仏会館によって「フランス語コンクール」が開催されています。前回は、実際にボクがそのコンクールに出場して敗退した話をしました。今回は、その...

 この記事へのコメント

  1. Roisky より:

    僕も今勉強中です。全て独学だけです。8言語で全て頂点取ろうと毎日勉強してます。毎週水曜日はフランス語の日と決めてます。大学は工学部の無関係の大学。英語始めたのも3年前。それまではセンター英語ですら読めなかった。とりあえず、日本の外国語検定制覇してから、次はB2からスタートします。いずれは8言語でC2クラス取る事を希望してます。語学の勉強は勉強とは思いません。ゲームです。将来、世界で動きたいです。

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