フランス語コンクールでコテンパンに敗れた話。

フランス語コンクール

日仏会館は毎年、フランス語コンクールという魅力的なイベントを開催しています。定められたテーマに従って、約15名ほどの出場者に5-7分のスピーチをフランス語で行ってもらい、成績優秀者上位3名にはなんとフランス往復航空券に加えて4週間の語学研修費や滞在費相当の賞金が与えられます。

日韓ハーフ、パリで起業。

フランス語コンクールへの出場応募資格は以下の項目に当てはまらない者であることです。

1. 両親のいずれかがフランス語を母語としている。

2. フランスないしフランス語圏に滞在した期間、またはLycée francais international de Tokyoなどでフランス語による学校教育を受けた期間が、満8歳以降、通算15ヶ月を超える。

3. 過去のフランス語コンクールまたは留学生試験で優秀な成績を収め、航空券を含む奨学金を受けたことがある。

2016年度応募要項

コンクールは上級部門と中級部門に分かれており、上級部門の場合は上位3名に、中級部門の場合は優勝者にのみ、豪華な賞品(フランス往復航空券+4週間の語学研修費や滞在費)が与えられます。

賞金に目がくらんだボクは2014年に開催された上級部門に応募をし、参戦をして、見事にコテンパンに敗れました

【note関連記事】ソルボンヌ大学院に通いながらフランスで働いているぼくが自分のフランス語学習歴を赤裸々に語る

負けたからこそわかることがあるはずであると信じて、今後このコンクールに参戦する人の役にたてればいいなと思い、この記事を書いています。

さて、2014年に開催されたコンクールの上級部門のテーマは「私が好きな日本、嫌いな日本(Le Japon que j’aime, le Japon que je n’aime pas)」でした。

2015年度のテーマが「表現の自由はどこまで認められるか?(Jusqu’où va la liberté d’expression?)」であったことや、2016年度のテーマが「科学技術の進歩は人類の幸福に貢献するか?(Les progrès de la science et de la technique contribuent-ils au bien-être de l’humanité?)」あるいは「日本国憲法の改正をあなたはどう考えるか(Que pensez-vous de la révision de la Constitution du Japon?)」であることを考えると、2014年度のテーマがいかに参戦しやすいものであったかがわかります。

ちなみに、2015年度はテーマが急に難しくなったため、出願者が激減し、1次選考(書類審査)の倍率が2倍程度でした(決勝出場者9名に対し、応募者は18名)。

2014年にコンクールに参加した際のボクの原稿はnoteに投稿をしてあるので、自由にご覧ください。

2014年の時点でのボクのフランス語の実力は、フランス語検定2級に合格する程度のもの(DELFでいえばB1程度)(今持ってる資格はB2、この間C1を受けてきました)だったので、もちろんこの原稿を完全に自分で書けたわけではありません。

日本語文と、最低限のフランス語文を書いて、お金を支払って(3000円+入賞すれば2000円追加)、フランス語のかなりできる友人に作成してもらいました。コンクールに入賞できれば、上記に述べた通り、かなり豪華な賞品を手にすることができるため、妥当なコストです。誰が書いたか確認のしようがないので、ルール違反でもありません。強いていえば、決勝大会でスピーチ後に行われる質疑応答こそが、他者が作成した原稿であるかどうかを見抜く審査であるといえるでしょう。

事実、昨年2015年度のコンクールの中級部門でスピーチを行った選手の中には、フランス語の発話能力(発音やイントネーションの不正確さ、質疑応答で質問内容を理解できないなど)が原稿のレベルについていけていない者もおり、書類審査だけに依存した1次選考の方法に見直しの余地があるようにも見受けられました(たとえば面接をしたり、録音データを添付したり)。

事実、ボク自身も、スピーチ自体は綿密な準備が功を奏し、完成度の高い状態で行えたにもかかわらず、質疑応答でのやりとりが著しく低レベルであり、入賞することは不可能でした。今思えば、当時のボクは中級部門に出るくらいでちょうどよかったかもしれません。

実際に2015年度のコンクールにおいては、中級部門に応募をしてみましたが、さすがに前年の上級に出場しているため、1次選考を通過することができませんでした。今年の夏から最低2年間フランスに留学するので、仏語圏滞在期間制限にひっかかってしまい、ボクが今後このコンクールに出場することはできません。やや残念です。

大会自体の様子はといえば、多額の賞金の獲得を目の前にピリピリしている選手の空気感と、ほんわかしている審査員側の雰囲気に大きなギャップが見て取れました。

スピーチの最中に暗記していた原稿内容を忘れてしまいアタフタしていた選手に対して、審査員側が事前に送られていた選手の原稿を見て、ヒントを与えるなどという滑稽なやり取りもありました。しかもその選手が入賞をしていたりするので、ここまでのことから明らかにいえることは、1次審査の書類選考とスピーチ自体は非常に緩い管理下で行われており、対して、スピーチ後の質疑応答にすべてがかかっているということです。

選手から審査員側への一方通行的なアプローチである原稿提出と発表はあくまで形式的なものであり、選手と審査員の双方向のやり取りである質疑応答こそがもっとも重要な課題であると言い換えることができるでしょう。これは、じつにフランス的な審査方法であると個人的には考えます。

原稿を書くのは誰かにやってもらえばいいし、原稿を暗唱するのは最低限のレベルさえあれば誰がやっても変わりませんが、現場で行われ瞬時に回答をしなければならない質疑応答だけは、その選手の個性・思想・能力がにじみ出てくるものだからです。

高等教育機関の論文審査に口頭試問という、書いたものに対するいわゆる質疑応答があるのもそのためでしょう。

なので、敗者であるボクが、フランス語コンクールで入賞をするコツとして唯一伝えられるのは、作文と発表は適度に力を抜き、質疑応答の準備に全力を注ぐといったことでしょうか。自分のスピーチ内容に関する本をたくさん読んで、いろんな著者の考え方を知るのもよし、友達とそのテーマに関して日本語で談笑するのもよし、とにかくそのテーマに関して、どの方向からつつかれても、なにかしら筋の通った回答をできるように脳みそを仕上げることです。

敗者からの助言はここまでにしておいて、また次の機会に、今度は勝者に対するインタビュー記事を執筆いたしましょう。

フランス語コンクールの上級部門において優勝した選手は、どういったフランス語能力を有していて、どういった準備をしてコンクールに臨んだのでしょうか。気になるところです。

13884346_1118474751574139_1989410768_n

フランス語コンクール優勝者に対するインタビュー記事を追加しました(2016年8月5日)

2015年度コンクール当日。左がパリノメモ筆者、右が井上遼さん。
毎年、日仏会館によって「フランス語コンクール」が開催されています。前回は、実際にボクがそのコンクールに出場して敗退した話をしました。今回は、その...
magnifier-389900_1920
こんにちは、マエダジュロウです(@Parisnomemo_)。 フランス語学習を始めるときにまず第一に必要になってくるもの、それが辞書。 ...

 

 この記事へのコメント

  1. あつお より:

    ありがとうございました。大変参考になりました。
    2016年の上級に応募しようと、さっそく日本語原稿を書いたところですが、フランス語レベルは2級合格するかしないか、という位です。お話を伺って、やはりコテンパンに敗れそうな気がしています。つらい質疑応答になりそうです。
    内容的には上級のもの(科学技術について)で行きたいのですが、もう少し考えたいと思います。
    一度上級選手になってしまうと、中級にももう選考されにくくなるのですかね。

    • parimo より:

      コメントありがとうございます。
      今年から上級部門もテーマが選択式になったりと、形式が大きく変わってきているので一概にはいえませんが、少なくともボクが出場した年の感じから言うと、少なくともDELFB2レベルはないと厳しいかなといった印象です。
      上級選手に一度なると中級に選考されにくくなるかどうかに関しては、確かな情報をお伝えすることはできませんので、ボク自身の経験から「なんとなくそんな感じがする」とだけ言うことができます。
      今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です