こんにちは、マエダジュロウです(@Parisnomemo_)。
フランス語学習を始めるときにまず第一に必要になってくるもの、それが辞書。
辞書には紙辞書・電子辞書・辞書アプリの3つの形がありますが、みなさんはどれを選ばれますか?
今回は、かれこれ10年近くフランス語を学び、現在はソルボンヌ大学の修士課程に所属しながら個人事業主としてフランスで働いているぼくが、紙・電子・アプリの3つの辞書の形態のメリット&デメリットをそれぞれ徹底的にまとめていきたいと思います。
もちろん、この10年間で紙辞書も電子辞書もアプリ辞書も全部使ってきましたよ!
紙辞書のメリット&デメリット

辞書の中でもっともクラシックなのが紙辞書。辞書の原点であり、若い世代も含めいまだに長く愛され続けています。
そんな紙辞書にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリット
その一:記憶が連鎖する
紙辞書のメリットとしてよく言われるのが、単語同士の記憶の連鎖です。
たとえば、ある単語を調べたとして、その単語にマーカーをつけます。1週間後に別の単語を調べようとしたらたまたまマーカーがつけられた単語と同じページにたどり着きます。そうすると、「あ、そういえば1週間前にこの単語調べたな」と思い出して、その時調べた単語と1週間前に調べた単語が連鎖します。
もちろんそれだけでは大した効果は得られませんが、毎回毎回単語を調べるたびにそういった出来事が起こったとしましょう。そうすると無意識のうちに、本来なら呼び起こされることのなかった単語の記憶たちが何度も何度も頭の中に蓄積していき、ボキャブラリーは地道に増えていきます。
実際に紙辞書も数年愛用していたのですが、けっこうこれが本当なんですよね。
その二:読み物的に使える
紙辞書は本の形をしています。
だから、単語を調べようとして手にとったら、いつの間にか読み物のように「へー、こんな表現あるんだ」と読み進めているときがあります。そうすると、本来は知るはずもなかった語彙や表現が自然と頭のなかに入ってくる結果となり、フランス語学習に有利に働きます。
余裕のあるときにしかできない所作ですが、これが意外と大きな効果をもたらしてくれるんですよね。言語は蓄積!
その三:クラシック!渋い!
個人的に紙辞書の最大のメリットと考えているのは、紙辞書がなによりもクラシックで渋いということです。普通、「え?そんなことがメリットになるの?」と思いますよね。ただこれが意外と無視できないんです。
紙辞書を引いて単語を調べていると、分厚い紙のかたまりにマーカーをひきながら、ときにはメモを残したりしながら、増えていくマーカーチェックの数や、少しボロボロになってきた紙を見ながら「あぁ、自分は勉強をしているんだ」という自己陶酔した気持ちになってきます。
自己陶酔なんてかっこわるいと言われるかもしれませんが、自己陶酔は最大の勉強モチベーションなんです。「勉強している自分がかっこいい」、そう思えたならば、どんどん勉強する意欲が湧いてきて結果的に勉強時間も増えます。
語学学習はモチベーションがモノをいう世界です。紙辞書を使うことによってモチベーションを維持できるとしたら、それは最大のメリットになるんです。
デメリット
その一:重い!重すぎる
そんなクラシックで渋い紙辞書にももちろんデメリットはあります。
まず、重すぎる!これが最大のデメリットです。あんな分厚い紙の塊、持ち運ぼうとカバンに入れたら、それだけで背中にズシンと来ます。たまにだったらいいけど、それがもし毎日だったら、気が重くなってしまってもはや持っていかなくなるなんてことも。
それにサイズが大きいからカバンによっては入らないなんてこともあるし、持ち歩けない以上、日常のふとしたときに何か調べようとしても手元にないなんて状態になってしまうのです。
これは根本にして最大のデメリットですね。
その二:調べるのに時間がかかりすぎる
単語を調べようとするとき、いちいち時間がかかりすぎます。もちろん慣れてくれば速度は上がってきますが、それでも電子辞書や辞書アプリに比べると圧倒的に遅いです。
フランス語を学ぶにあたって、調べる単語なんて数千・数万とあるのに、それら1つ1つに何十秒もロスするとなると、勉強効率が悪すぎます。単語をたくさん調べる必要のある難しい本なんて読もうとしたら日が暮れてしまいますね。
ただ、時間をかけて調べると、上で述べたような「記憶の連鎖」というメリットも得ることができるのも事実です。
紙辞書は時間があって余裕があるときに使いたいものですね。
その三:暗いと使えない
紙辞書の3つ目のデメリットは、暗いと使えないということです。
たとえばぼくは個人的に、寝ようとして布団に入ったあとに「あ!あれなんて意味だっけ!」と無性に単語の意味が気になってしまうことがあります。せっかくのボキャブラリーを増やせるチャンスだから、できれば逃したくないものの、わざわざ電気をつけてイスに座って辞書を引くと思うと、なかなか調べようと思えません。目覚めちゃうし。
こういった、手軽に使えないところが、どうしても紙辞書のデメリットとして作用してくるんです。
電子辞書のメリット&デメリット

辞書業界に革命をもたらしたのが電子辞書。単語を探すのに時間がかかったり、持ち運ぶのが大変だったりする紙辞書のデメリットを一掃して、言語学習に大きな変革をもたらしました。
そんな電子辞書には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリット
その一:紙辞書に比べてコンパクト
紙辞書に比べると圧倒的にコンパクトですね。持ち運びも簡単、大きさもかさばらないからカバンのサイズも気にしなくてすみます。
毎日辞書を持ち運ぶという習慣を作り上げてくれたのが、まさにこの電子辞書なのです。
中学生のころ初めて電子辞書を手に入れたときは正直ビックリしました。テンションもすごく上がりました。
その二:単語検索がスムーズ
これも、電子辞書が辞書業界に革命を起こした理由の1つです。
1つの単語を調べるのに数十秒、下手したら数分かかっていた紙辞書時代に終止符を打ち、単語を5秒ほどで調べられるようにしてくれたのです。
これだけで世界の言語学習事情をどれだけ変えたことか。実際に論文とかは読んだことがないですけど、電子辞書の登場で世界中の学生たちの言語科目の成績の平均が底上げされたりしてるんじゃないですかね?
時代を切り開き、世界に衝撃を走らせた革命児、それが電子辞書なのです。胸が熱くなりますね。
その三:その他にもいろんな機能が
電子辞書のもうひとつのメリットとしてあげられるのが、主要機能のほかにも、百科事典や漢字辞典などのその他多くの機能が同時に盛り込まれているということです。
そこまで使う機会が多いわけでもないのですが、地味にいろんな場面で救われます。
たとえば、ぼくはソルボンヌ大学院の論述試験の際に、電子辞書の持ち込みが認められました。その際、仏語辞書だけでなく、内緒で百科事典なんかも駆使して、引用したい学者のスペルとか、歴史的出来事の正確な年度とかも調べてました。もちろんバレたらまずかったかもしれませんが、バレるわけもありません。
まぁ、これはほんの例外的事例ですが、いつも使っている辞書に他の役立ち機能が入ってることは、案外いろんな助けになってくれるものです。
デメリット
その一:高い!高すぎる
ただ、時代に革命をもたらした電子辞書も、いまや欠点だらけのものとなってしまいました。
まず第一に値段が高すぎます。紙辞書や後で説明する辞書アプリに比べても圧倒的に高いです。
それなりの機能を備えた電子辞書を買おうとしたら、簡単に3万円は超えますし、なんなら5万円を越してもおかしくはありません。二度見してしまうレベルの価格です。語学の勉強始めたくて買う辞書が5万って、そんなんじゃだれも語学学習をしたくはならないでしょう!
もちろん、紙辞書時代に終止符を打って、辞書革命を起こした時代ならば、「まぁ紙辞書に比べてはるかに効率がいいから…」と言って買う理由にもなりましたが、今やあとで説明するスマフォで使える辞書アプリがあります。
個人的に、数万円も払って電子辞書を買う理由が見つかりません。
その二:無駄な機能が多い
先程はいろんな機能が入っていることをメリットとして挙げましたが、メリットであることをデメリットに変えてしまうくらい無駄に機能が多いです。
百科事典とか漢字辞書は個人的にすごい助かってたこともありますが、たとえば以下のような機能も盛り込まれています。
・スピーチ文例集
・スポーツ用語辞典
・百マス計算
…いらない!!いまどきこういうことは必要になったらスマホを使ってグーグル検索すればいいだけだし、わざわざこういう機能を盛り込んで値段を上げられても、まったくなにも嬉しくありません。ある程度、言語検索だけに特化して安くしてある電子辞書もありますが、それでも1万はします。高すぎる!
その三:追加コンテンツカードのメリットが見つからない
ことフランス語学習者においては、電子辞書でフランス語機能を使おうとした場合、追加コンテンツカードを購入する方が多いのではないでしょうか。
というのも、義務教育過程に組み込まれている英語を勉強するためにまず電子辞書を買って、その後大学生か大人になってフランス語を勉強しようとして、すでに所持している電子辞書にコンテンツカードを挿入して利用しようとするパターンが多いからです。じつはぼくもそうでした。
ただ、この追加コンテンツカード、じつは5000円くらいします。下で説明する辞書アプリの値段とほぼ同じです。
もともと持っている電子辞書にフランス語辞書が入っているならまだしも、5000円も払ってあとからコンテンツカードを挿入するなら、もはや辞書アプリを買ってしまったほうがいいですよね!
その理由を、次に述べる辞書アプリのメリット&デメリットで考えてみましょう。
辞書アプリのメリット&デメリット

ひそかに辞書業界に第2次革命を起こしているものの、いまいち認識されずに花形にはなりきれていないのが、スマートフォンにインストールして使うタイプの辞書アプリ。
辞書アプリにはどのようなメリット&デメリットがあるのでしょうか?
メリット
その一:普段持ち歩くスマフォに収納
辞書アプリは普段から持ち歩いているスマフォにインストールして使います。
これって、あまり認識されませんが、ものすっごい革命なんですよ!だって、いままでは外出時に「辞書」というものを別に持ち歩かなければならなかったけど、アプリをインストールすれば、いつもどおりポケットに入れたスマートフォンだけで済んでしまうんです。
携帯電話と辞書を持ち歩いていたのが、携帯電話だけ持ち歩けば辞書も同時に使えてしまうのだから、これは驚くべき変化ですよね。
辞書を持ってくることを忘れるなんてこともほとんど無くなります。だってスマフォを忘れて外出するって滅多にありませんし、それって非常事態だから、忘れないようにみんな気を配りますもんね。
その二:文句無しの機能性
そんな辞書アプリ、機能的にも文句はありません。
というか電子辞書とほぼ一緒です。5秒で検索、履歴に残り、ジャンプ機能もあり、電子辞書がそのままスマートフォンに入った感覚です。
強いて辞書アプリだけの特徴を挙げるならば、スマートフォンだからスクリーンショットがとれたり、あるいはブックマークを付けられたり、片手で操作できたりすることですかね。電子辞書の機能のまま、より手軽に、より機能的になったイメージです。
なにも文句無しです。
その三:よく考えると安い
辞書アプリは、たとえばぼくが使用しているプチ・ロワイヤル仏和辞典(第4版)で5800円です。そんな手軽に手が伸びる値段ではありませんが、他の辞書と比べるとじつはこれ意外と安いんです。
だって、たとえば、紙の辞書は新品で買えば4000円くらいにはなるし、電子辞書は本体で数万円、追加のコンテンツカードでも5000円します。そう、辞書って高いんです。
もちろん、先人たちの偉大な語彙の蓄積が凝縮されたものが辞書なわけですから、しかるべき対価が支払われるべきだと思っていますが、これが「アプリ」だと何故か高く感じてしまいます。だってアプリって基本的に無料だし、有料でもせいぜい500円は超えないものが多いので…。
でも、これは「アプリ」であると同時に「辞書」なんです。5800円でこれだけの機能性とコンパクト性を備えた辞書を手に入れられるんだから、躊躇の余地はありません。ぼくなんか、高いな〜と思って買うのを躊躇して、ずっと電子辞書を使っていたことを後悔しています。
デメリット
その一:スマフォの充電次第
さて、そんな辞書アプリですが、もちろん完璧ではありません。デメリットもあります。
最大のデメリットは、スマートフォンの充電に全てがかかっているということ。スマートフォンにインストールしてるから、スマートフォンの充電が切れたら使えないんです。
スマフォは普段しようしているものである分、充電はすぐに減ってしまいます。だから、「あぁあと少しで充電が切れて辞書が使えなくなってしまう」なんて妙なストレスをかけられることもしばしばです。
ただ、ぼくの場合、仕事や勉強でスマートフォンは命のように扱っているため、決して充電を切らさぬよう、モバイルバッテリーを使用しています。これひとつ持っておけば1度の外出で充電が切れるなんてことは滅多になくなりますからね。
その二:持ち込みができない可能性
つぎに、スマフォを利用した辞書の場合、試験への持ち込みができない可能性があるというデメリットが挙げられます。
たとえば大学の試験なんかでは、フランス語辞書の持ち込みを許可している場合がしばしばありますが、スマートフォンの辞書だと、さすがに許可が降りない可能性があります。
というのも、グーグル検索ができてしまうし、なによりもラインなどのメッセンジャーで友人とやり取りができてしまうからです。これを許してしまったら試験はけっこうめちゃくちゃになってしまうでしょう。
ぼくも、現在通っているソルボンヌ大学の修士課程の筆記試験では、辞書の持ち込みが許可されていますが、さすがにスマートフォンはだめなので電子辞書を持ち込んで使用しています。
これがちょっとネックなところではありますね。
その三:無料のものは質が悪い
いままで辞書アプリは有料のものを使うという前提で話を進めてきましたが、ここで一度立ち返ってみましょう。
なぜこんなにもほぼパーフェクトな辞書アプリがいまだに電子辞書勢力と競いあっているのか。それは、フランス語の辞書アプリとして一応は存在している「無料の辞書アプリ」が、辞書アプリに悪いイメージを植え付けてしまっているからです。
無料の辞書アプリはたしかに存在します。無料です。一応、辞書です。でも、質が悪いんです。そりゃあ無料だから安かろう悪かろうですが、正直、質の悪い辞書なんて、もはや辞書ですらありません。言語学習をするのに一々出てこない単語があったりしたら、学習の妨げもいいところですよね。辞書はお金を払ってでも良質のものを揃えておくべきなのです。
ただ、無料の辞書アプリの一応は辞書、だから「辞書アプリのデメリット」として、この無料アプリの存在を挙げておきましょう。
まとめ:辞書アプリが最強!?
ここまでの流れを汲むと、紙辞書・電子辞書・辞書アプリの中でもっとも優れているのは辞書アプリなのではないかという仮説を立てることができます。
その理由をあらためてまとめてみましょう。
紙辞書は機会を選ぶ
紙辞書にはたしかにメリットがあります。
記憶の連鎖や、読み物としての使用で地道にボキャブラリーが頭の中に蓄積していき、結果的に良好な語学学習に導いてくれるでしょう。
しかしながら、まず、物理的に重いので外出時には使いにくいです。加えて、単語を調べるのに時間がかかりすぎるため、忙しいときにはいちいち使ってられません。スピーディな効率的勉強を求められる試験期間なんかは相性最悪ですね。
だから、紙辞書は使う機会が限定されてしまう辞書であるという結論を出せます。たしかにメリットはあるけど、使いにくいんです。
電子辞書はもはや使う理由が見つからない
電子辞書はもはや使う理由が見つかりません。
検索スピードも、収録ボキャブラリーもスマートフォンの辞書アプリと同じなのに、「電子辞書」というものをわざわざ所持していなければなりません。辞書アプリだったらスマートフォンだけで済むのに。
それに何よりも高いです。これで圧倒的に辞書アプリよりも安いとかだったら、まだ電子辞書の価値も見いだせるのですが、追加コンテンツカードで辞書アプリとほぼ同じ値段、電子辞書本体を買うならアプリの何倍ものお金を払わなければなりません。
電子辞書は、時代を切り開いたものの、その次にやってきた新たな時代には順応できなかったのです。スマートフォンって偉大ですね。
今から辞書を選ぶなら問答無用でアプリに決めよう
結論として、これから辞書を購入しようとする場合、問答無用で辞書アプリにするべきだということが言えそうです。
もうすでに電子辞書を所持していて、中にフランス語コンテンツも入っているのなら電子辞書を使い続けてもいいかとは思いますが、これから新たに電子辞書本体や追加コンテンツカードを購入するほどもったいないことはありません。まっさきに辞書アプリを購入すべきでしょう。
ぼくも長らく電子辞書に追加コンテンツカードを挿して使っていましたが、結局、辞書アプリの利便性にやられて辞書アプリを購入してしまいました。まぁ、電子辞書は中学時代から大学を卒業するまで使っていたので、すでに元は取れましたしね。
辞書は、語学学習の第一のパートナーです。良質で効率的な辞書無しには、言語学習における最高のパフォーマンスを発揮することはできません。
有能で優良な自分のパートナーを選ぶことをおススメします。