【上級】深入りしたい人におすすめのフランス映画5選はこれだ!

photographer-234907_1280

 

13871857_1118474701574144_1445118406_n

こんにちは、パリノメモの筆者をやっているジュロウです。ツイッターはこちらです(@Parisnomemo_)。

前回は、フランス映画に興味を持ち始めたばかりに入門者向けに「さすがに見ておきたいフランスの名作映画5つはこれだ!」という記事を書きました。

今回は、入門を通り越して、さらに深入りしたい人に向けて、フランス映画に深入りできる作品を5つ紹介したいと思います!

 

アラン・レネ『二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』(1959)

hiroshima-mon-amour
 広島に原爆が落とされてから10年余り。まだ戦火の爪痕が残る広島で、映画史に残る傑作が撮られました。
 
『ヒロシマ・モナムール』で知られる本作は、当時日本のスター俳優であった岡田英次とエマニュエル・リヴァ(近年の『愛、アムール』での名演!)をキャスティングし、ふたりのあいだに芽生えたつかの間の愛をとおして、つねに背後に差している戦争の影を見事に描ききりました。美しいフランス語で演じ切った岡田英次は、もともとフランス語がひとことも分からなかったというから驚きです。

 

 「ヌーヴェル・ヴァーグ」には、数多くの才能溢れるフランスの作家たちが名前を連ねました。アラン・レネ監督は、ヌーヴェル・ヴァーグを代表するひとりであることは間違いありません。
 
そして同様に、脚本を担当している才気に満ちた女流作家であるマルグリット・デュラスの存在を紐解けば、20世紀のフランス文学へと足を踏み入れることになるでしょう。撮影監督、美術、音楽も同様です。このようにひとつの傑作を深く掘っていくだけで、20世紀のフランス文化の姿がありありと浮かび上がってきます。映画が「総合芸術」といわれる所以はそこにあるのでしょう。

 

ジャック・タチ『プレイタイム』(1967)

playtime
 フランスのみならず、日本にも熱狂的なジャック・タチのファンは数多くいます。オールタイム・ベストにタチの作品を挙げているひともちらほらと目にする。
 
なぜかれの作品がかほどまでの熱狂を生み出したのでしょうか? それは『プレイタイム』を観ればすぐにわかるはずです。これほどひとつの映画のなかに、確固たる世界を――おもわず腹を抱えて笑ってしまう、崇高なコメディを!――つくりあげたということだけで、わたしたちはかれの才能に感服するべきなのでしょう。フランス映画のなかでも、ひいては映画史においても、ジャック・タチは唯一のポジションを獲得しました。

 

 本作の制作には、当時のフランス映画史上最大の制作費が投じられたそうですが、その理由も頷けます。なぜなら、かれは”すべて”をつくってしまったのですから。もうひとつのまったく新しい世界を、フィルムに焼きつけてしまったのです。
 
その世界の中心で喜劇を演じきっている「ムッシュー・ユロ(Monsieur Hulot)」をどうして愛さずにいられるでしょうか。

 

エリック・ロメール『海辺のポーリーヌ』(1983)

pauline-i-la-plage-12-g
 「ヌーヴェル・ヴァーグ」を語るにおいて、「カイエ・ドゥ・シネマ」の存在を欠かすわけにはいきません。「カイエ」は、かつて作家たちにも絶大な影響力を誇った映画批評誌でした。
 
どのように影響を及ぼしたのか?
 
もちろん作品批評もそうですが、ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちは、もともと「カイエ」の批評家出身であることが驚くほど多いのです。エリック・ロメールもそのひとり。

 

 ただ、かつて難解な映画批評を書いていたインテリであるとは思えないくらいに、彼の作品はすべて純粋な多幸感に溢れています。
 
『海辺のポーリーヌ』もそのひとつ。
 
ロメールは、フランスの「ヴァカンス映画」というジャンルを確立したと言われていますが、この映画も、舞台は南仏の街でヴァカンスを過ごす者たちの一風変わった愛の物語です。ひと夏のヴァカンスを終え、南仏を去らんとするヒロインが残す最後の一言に、おもわず立ち上がって拍手してしまうくらいの温かみ溢れています。ロメールの作品の登場人物は、どこか憎たらしくても、やっぱり愛さずにはいられません。

 

ジャン=ジャック・ベネックス『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』(1986)

betty-blue-3
 1970年代、フランス映画はひとつの混迷の時代を迎えていました。50年代、60年代に隆盛した「ヌーヴェル・ヴァーグ」の作家たちは、依然として新作を撮り続けていましたが、かつてほどの勢いを失くし、若い映画作家たちの新しい芽もなかなか開かなかったからです。そんななか、80年代に華々しくデビューしたのがジャン=ジャック・ベネックスです。

 

 同時期にデビューしたレオス・カラックスや、『レオン』『ニキータ』などで知られるリュック・ベッソンと合わせた三人で「恐るべき子供たち(アンファン・テリブル)」と呼ばれ、フランス映画の新時代の到来が謳われたのです。「新時代」と銘打たれている通り、『ベティ・ブルー』には、それまでのフランス映画の伝統とは異質なものが見受けられます。

 

 「ヌーヴェル・ヴァーグ」は、ペダンチックで難解であるというイメージがつねに付き纏っていました。『ベティ・ブルー』は、歪だけれど真っ直ぐな、愛の物語です。どうしようもなくぶつかって愛し合う二人の「愛と激情の日々」に涙せずにはいられない、フランス映画史に残る傑作です。

 

レオス・カラックス『ポンヌフの恋人』(1991)

lesamantsdupontneuf-leoscarax
 フランスの枠に収まらず、ハリウッド映画の出演も絶えないほどの世界的な大女優に成長したジュリエット・ビノシュは、かつてこの映画で、パリの路地に生きる失明の危機にある家出少女を演じました。

 

 「ボーイ・ミーツ・ガール」は、物語のもっとも典型的なパターンのひとつといわれますが、逆に言えば、観客がもっとも共感しうる物語でもあるということです。
 
『ポン・ヌフの恋人』は、ホームレスと家出少女という奇怪な「ボーイ・ミーツ・ガール」でありながらも、途方もないほど感動的な傑作に仕上がっています。ポンヌフというのは、実際にパリのセーヌ川に架かる橋(Pont-Neuf)のことですが、この橋の上で交わされる愛のかたちは、すべてが小綺麗でエレガントなわけではないのです。それでも、ポンヌフの空に打ち上げられる花火のシーンは、フランス映画史上でもっとも美しいシーンのひとつに数えられるでしょう。

 

 いまだに日本の若者たちにもカルト的な人気を誇っている『ポンヌフの恋人』は、あなたにとっての「フランス映画」に新たな光を差してくれるに違いありません。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

もともとフランスで生まれた文化である「映画」、フランス映画を見ればみるほど映画とはなんなのかと、そういった考察をさせられます。

フランス映画に興味をもった方は、上に挙げた5つの映画を見て、さらなる深みにはまってみてはいかがでしょうか。

なお、映画評論をしている中条省平氏の著作『フランス映画史の誘惑』では、リュミエール兄弟による映画の発明から、2000年代の『アメリ』までのフランス映画史を一瞥することができるのでおすすめです!

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です