アメリカ、カナダ、イギリス――。留学先の国の候補として、英語圏の国々にはやはり圧倒的な存在感があります。そんな状況でも、「フランス」という留学先をおススメしたい理由が3つあります。
こんにちは、パリノメモの筆者をやっているジュロウです。
人生で2回のフランス留学を経験しました。。
経緯はどうであれ、フランスという国に「留学」という形で接してみてわかったことは、フランスは留学する価値がある国だということです。
実際にボクが2回もフランスに留学しているのがいい証拠で、この国は、時間とお金を消費してまで留学する意義があると思わせてくれるのです。
そう考える3つの理由を今日は紹介したいと思います。
【note記事】ソルボンヌ大学院に通いながらフランスで働いているぼくが自分のフランス語学習歴を赤裸々に語る
理由①:フランスは「留学生受け入れ大国」

Campus France Japonが公開している「フランス留学ガイド2016-2017」によると、フランスは受け入れている留学生の数がアメリカとイギリスに次いで世界第3位であるとされています。これは、英語圏を除いた場合、世界第1位になることも意味します。約30万を超える外国人学生がフランスの高等教育機関に留学しており、これは、フランスの高等教育機関にいる学生全体のうち、じつに12%に及びます。
フランスが、いかに「留学生受け入れ大国」なのかがよくわかりますね。
それもそのはず、フランス政府が「留学生の受け入れ」をひとつの大事な政策として捉えていて、積極的にそれを支援しているのです。上にあげたCampus Franceがいい例で、Campus Franceとはいわゆる「フランス政府留学局」のことで、世界中にそのオフィスが点在していて、フランスに留学をしたいという学生の媒体役となっています。Campus Franceが、フランスの外務省の傘下にあるってことも、けっこう意味深ですよね。

世界中にあるCampus France(これはほんの一部)
これ、つまるところ、フランス政府が世界中の学生をフランスに留学させることで、「フランス関係の人材の確保」・「フランスという国のブランディング」・「フランス文化の世界への普及」を目指す、ある種の外交手段であると解釈することもできると思うんですが、フランスという国に興味をもって実際にフランス留学をする身としては、むしろ好都合なんです。
というのも、フランスというプラットフォームに世界中から人材が集まって、世界中にこれだけ広いコミュニティが形成されているということは、こっちとしても活躍の場が広がるというメリットを得られるからです。
極端な話、これだけ「フランス」が世界に広がっているということは、フランスに留学をして教育を受けた人は世界中にコネクションをもつことになるし、世界中に就職の可能性があるし、世界中でビジネスチャンス見つかられる可能性を得ることができるわけです。
実際に、France Alumni(フランス留学経験者グローバルネットワーク)というのもあるんです。
どれだけ、フランス政府が「フランス留学」に力を入れているのかがわかります。
理由②:フランス語は世界的言語

それだけフランス政府が「フランス留学」に力を入れているということは、当然、フランス語話者も世界中に普及することになります。フランス留学をするためにフランス語を勉強して、実際にフランス留学をしてさらに高いレベルのフランス語を習得する人材が世界中に拡散されるからです。
たとえば、フランス政府公式機関であるInstitut Français(アンスティチュ・フランセ)は、フランス語とフランス文化の発信を目的としており、これまた世界中に点在しています。フランス留学をするにあたって、この機関のお世話になった人はたくさんいるのではないでしょうか。

世界中に広がるInstitut français
ちなみにパリノメモの筆者であるボクは、モロッコにあるInstitut français(マラケシュ校)の夏期講座に通ったことがあります。
それに、フランス政府がフランス語の教育に力を入れているだけではなくて、そもそもフランス語が公用語である国が世界にはたくさんあります。
資料によって統計データは異なるようですが、世界中にフランス語を母語(主要言語)とする人は約7000万〜1億3000万人ほどいるらしく、母語にかぎらず、話者全体に関していえばなんと2億人以上にも及ぶそうです。
ただ、この人数だけを見ると、「なんだ日本語を使う人口だって1億以上いるぞ」と思ってしまうかもしれませんが、重要なのはフランス語を主要言語とする国が多数あるということです。
というのも、植民統治時代の影響で、フランス語を公用語とする国はアフリカを中心に世界中に広がっていて、主要話者数自体は日本語とあまり変わらないものの、その物理的な広がりが段違いです。

フランス語圏の国々:飯野和夫ホームページより
フランス語を公用語とする国が世界中にあって、しかもフランス政府が留学受け入れに注力していることによってフランス語の話者は年々増えているわけですから、フランス留学をしてフランス語を習得することは、自分の活動範囲と可能性を広げる結果につながるのです。
理由③:フランス留学は人に能力を与える

さて、ここまでは、フランスというフィールドがいかに世界中に広がっていて、フランスに留学することによって自分の可能性がいかに広がるかということを説明してきました。
最後に、フランスに留学することによって実際に得ることになる「能力」について説明したいと思います。
もちろん先ほど説明したように、「フランス語」というのもフランス留学によって得ることのできる能力の1つなのですが、ここで言いたいのはそういった言語に関することではありません。
もっと本質的な、ボクたちのコミュニケーション能力に関わる部分の能力です。
というのも、少なくともフランスに2度目の留学をしているボクが抱いた印象としては、フランスにおけるコミュニケーションは、日本とは決定的に違うあるルールに基づいているからです。
それは、「合理」と「主張」です。
まず「合理」について説明します。たまに、フランス人はラテン的な「のほほーん」と大ざっぱに考える民族であると思われることもあるようですが、むしろその逆で、物事を綿密に、合理的、体系的に捉えようとします。というのも、フランスの教育は「ロジックの作り方」を徹底して教えこむ性質をもっていて、バカロレア(大学に入るための中等教育レベル認証資格試験)でロジック重視の長い論述試験への回答が要求されるのは日本でもよく知られているのではないでしょうか。
議論において相手よりも論理的な意見を伝えると、学生相手にでも教授が「C’est vrai(たしかにそうだ)」と素直にそれを認める姿は、けっこうビックリします。フランスは論破に寛容な国なのです。
ものごとを体系的に捉えようとしたデカルトが生まれた国だというのも納得です。
さて、そんな「合理性」を重視するフランスですが、じつはその「合理性」は、「主張」という行為がなければ意味を成しません。
フランス人はなんでもかんでもとにかく「主張」します。毎年起こるストライキだって、町中で頻繁にみかけるデモだって、全部「主張」なのです。なにか思うことがあったり、あるいはなにか返答すべきことがあったりしたときに、自分の意見を明確に述べられないといけないのです。日本にいるときのように、相手に合わせて相槌をうっているだけでは「意見のない人」・「意見を述べられない人」と見なされるだけです。
逆に、フランスの生活に慣れるとわかってきますが、どんな無茶なことでもとにかく「主張」をしてみると、意外とその意見が通ったりします。「メトロのチケットを買うのにあとちょっとコインが足りない」、「日本からの郵送が遅れていて、書類の提出期限に間に合わない」、なんでもいいのです、当たって砕けろで「主張」をしてみると案外なんとかなるものです。
フランスの留学生活においては、否応なく「合理性」とそれに基づいた「主張力」が身に付きます。それがないと生きていけないからです。
この2つの能力って、どこでなにをするにしても、とくにビジネスの場なんかでは非常に大事な能力だと思うのですが、意外と日本の教育では身に付きませんよね。日本の教育を否定するわけではありませんが、グローバル化すればするほど、こういった能力は必須アイテムになってくるはずなのです。
まとめ
今回は、フランス留学をおススメする理由として、
① 世界中にコミュニティが広がる
② フランス語の習得によって活躍できる範囲が広がる
③ 「合理性」と「主張力」という能力が身につく
の3つを説明しました。
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もちろん最終的には自分が何をやりたいかで留学先を決めるべきですが、留学には行きたいけどどの国にいくか迷っているという方々は、ぜひフランスという国を候補にいれてみてはいかがでしょうか。
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