【インタビュー】ロケットに憧れたぼくが文部科学省のキャリア官僚になった想い

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こんにちはマエダジュロウです(@Parisnomemo_)。

今回はインタビュー記事となります。

インタビューを受けてくださったのは、なんと現役の文部科学省のキャリア官僚である坂本卓司(さかもとたくじ・29歳)さん。文科省から派遣され、現在パリの大学院に留学中の方です。

小学生のころに宇宙に憧れロケットを作りたいと思っていた少年が、大阪大学・大学院を卒業し、文部科学省のキャリア官僚として活躍する現在にいたるまでのお話を2回に分けてお伝えします。第1回目のこの記事では、坂本さんが文部科学省に入省するまでのお話をご紹介します。

 

「2100年に人間は火星に行くらしいと知って、これはすごいと思いました」

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文科省勤めの坂本さん(左)と筆者(右)

―― インタビューを受けてくださってありがとうございます。まずは簡単な自己紹介をお願いします。

坂本卓司(さかもとたくじ)といいます。国家公務員として文部科学省に勤めていて、これまで、日本学生支援機構をはじめとする独立行政法人の評価に関わる仕事をしたり、内閣府の科学技術部局に出向し新しい法律に関わる仕事をしたりしました。現在は研修としてパリの政治学院に2年間の留学をしています。

高校まではおもに福岡で過ごしたあと、大阪大学の工学部で修士まで6年間学びました。学生時代は環境NGOに所属していたり、卒業論文と修士論文は「高速増殖炉もんじゅ」に関する研究をしたりと、「エネルギー」とか「環境」に興味のある学生でした。

 

―― 「環境」や「エネルギー」ですか。いつ頃からそういうことに関心をもたれたんですか?

そうですね…。小学生の頃は、単純にロケットってカッコいいと思って憧れていたんです。祖母に買ってもらった宇宙図鑑で、「人間は2100年には火星に行くらしい」ということを知って、心を踊らせていました。でもちょうど同時期にテレビで「地球温暖化で2050年までに人類は滅びるらしい」と聞いて、「え?火星に行く前に自分たちが引き起こした問題のせいで夢を経たれるのかよ…」ってけっこう本気で絶望しました(笑)

 

―― それで大阪大学の工学部に入られたのですか。

はい。中学くらいまではNASAとかに入りたいなーと思っていたんですけど、高校生のときには「世の中全体を良くしたい」、特に「エネルギー問題をなんとかしたい」という気持ちが強くなっていました。当時、「人類が使えるエネルギーの量には限界があるから江戸時代のような質素な生活に戻るべきだ」という声とかもあったんですけど、そんなのまっぴらごめんで、もっと便利で快適な生活をしたいっていうのが正直なところでした。だから、研究者として画期的なエネルギーを生み出したいと思い、大学と学部を決めました。

 

―― なるほど…。夢と野望に満ち溢れた理系少年だったというわけですね。

野望というほどでもないんですが、父親が理系の研究者だということもあって、なにかこう理系的な研究をすることが自分にとって身近なものだったんです。自分もそうするのが当然なんだと思ってました。

 

 環境とエネルギーについて真剣に考え、自分の非力さを知った学生時代

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自転車で全国を周りながら環境問題を訴える坂本さん

―― 大阪大学では、どのような学生生活を送られましたか。

学生時代は、勉強のほかに課外活動にも力を入れてました。高校のときからやりたいなと思っていたジャグリングをやってみたり、あるいは「自転車きゃらばん」という、自転車で全国を旅しながら環境問題を訴えるという環境NGOにも属していました。

 

―― ジャグリングに環境NPOですか…。具体的にどのようなことをされたのですか。

ジャグリングサークルでは、たとえばクリスマスとかに子供会の方々から依頼を受けて大道を披露したりしてましたね(笑)

環境NGOの「自転車きゃらばん」では、たとえば夏休みの1ヶ月で鹿児島から関ヶ原まで行ったりして、どの道中で大手スーパーの一画などを借りてそこで出会ったいろんな方々に環境問題について訴えかけて、共感を得た方には「私はこういうことをやります」って具体的な意思表明を旗に書いてもらったりしました。

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環境NGOの活動で、全国の意志を集める坂本さん

―― 1ヶ月で鹿児島から関ヶ原までですか!そういった全国の声を集める活動では、どんなことを学ばれましたか。

この活動では、今年は何人の声を集めたとか集計を取るんですね。それで、たとえば「今年は1,000人もの声を集めた」とかそういう実績を残せはしたんですけど、私としては1億を超える日本の人口のうちの1,000人って、自分はいったい何をやっているんだろうかと、むしろ己の非力さに絶望してしまいました。

でもそのおかげで、エネルギー問題に興味をもった経緯をたどり、世の中全体を良くしたいという想いの原点に立ち返ることができました。

そうなると、研究者という仕事も専門的な分野を突き詰めるものなので、子どもの頃に夢見た私の原点とは重なりづらいと気づいたんんです。

 

―― そういった経験で得た意志が官僚として働かれている現在につながっているのですか。

はい、ただ研究者の次は未来予測や大きなビジョンを打ち出すシンクタンクにあこがれていました。でも、実際にシンクタンクで働かれて独立をした人の下でアルバイトをしていたときに「シンクタンクは研究機関ではあっても、なにかモノを決める意思決定者ではないぞ」と言われ、再度、自分の進路を見直すことにしました。

「じゃあどこが意思決定をしているんですか」と聞いたら、「政治家だ」「政治家が決めた後のことは経済産業省などの中央官庁が決める」と言われ、そのときに初めて「国家公務員」という道を真剣に考え始めたんです。

 

 「怒涛の官庁訪問、肌に合うと思ったのは文部科学省でした」

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―― 坂本さんは現在いわゆる官僚、つまり国家公務員一種(現総合職)としてご活躍をされているのですよね。数ある役所の中で文部科学省を選ばれた理由はなんでしょうか。

もともと文部科学省の仕事に興味はあったんですが、まさか本当に入省するとは思っていませんでした。ただ、国家一種の試験に合格したあとに2週間ほどかけて行う役所独特の面接試験があるのですが、そこでの経験が結果的に自分を文部科学省に導いてくれたんだと思います。

 

―― 2週間かけて行う面接…。いわゆる「官庁訪問」と言われるものですね。

はい、まさにそのとおりです。

その2週間は採用プロセスがずっと続く非常にハードなもので、面接かつ各省の業務説明も兼ねられているのですが、そこでいろんな省の人と話をするうちに、文部科学省が一番自分の肌に合うのだと思うようになりました。

府省ごとに性格や特性がまったく異なるので、これは本当にその人に合う合わないの問題だと思います。

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欧州出張でプレゼンをする坂本さん

―― 文部科学省のどういったところがご自身に合うと思ったのでしょうか。

じつは、地球が2050年までに滅ぶかもしれないと知って絶望した中学時代、人類に対してものすごく失望したんですね。2100年にはロケットを作って火星に飛ばせると思ってたのに、自分たちのエネルギー問題のせいでその夢が絶たれるなんて、「人類ってなんて救いようが無いんだ」と思ったんです。

子どもの純粋な夢が、自分たち人間のせいで潰されるなんてみっともないですよね。次に生まれてくる子どもたちにこんな惨めな思いをしてほしくないと切実に願いました。まぁ、今思えば我ながらませた子どもでした(笑)

官庁訪問をしたころ、文部科学省の職員たちと話をしながら、そのときの想いがふとよみがえったんです。夢をもちながら、でもそれが自分たちのせいで叶わないかもしれないと諦めた自分を思い出して、「元気がない」と言われる今の子どもたちが夢を持ってワクワクできる社会にしたいと心からそう思いました。

 

―― …中学生のころに次の世代のことを考えていたんですか!実際に文部科学省に入省されてからは、自分の思い描いていたことを実現できていますか。

自分は現在5年目なので、まだまだこれからだと思っています。

これまでに、実際に現場に立ってみてなにも成果を残せないまま異動になったりと悔しい経験をしてきたのはたしかです。ただ、同僚や上司、省外の方々に本当に恵まれていて、この人たちと一緒に仕事をすれば、この人たちみたいになれれば、本当に何かを変えられるかもしれないと希望をもって続けてきました。

 

官僚としてインタビューを受けるということ ―― その目的とは

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―― ところで、今回なぜこのブログのインタビューを受けてくださったのでしょう。勝手なイメージなんですが、官僚の方々ってメディアへの露出は少ないに越したことはないと思っているのですが…。

そうかもしれません。プライベートの時間も含めて常に公務員として見られるので、露出はしないほうが安全だとは思います。

でも、官僚の生の声を聞いてもらいたいと思ったんです。「官僚って小学校からエスカレータ式のエリートばっかりなんでしょ」「官僚って感情がなくて笑わないんでしょ」「みんな夢もなく天下りをしてるんでしょ」みたいなことをよく言われるんですが、それはおとぎ話だと思います。

みんな、心をもった1人の人間として、いろんな想いを積み重ねて国家公務員という道を選んだんだということを伝えたいと思いました。そういうことも伝えてもらえるのが、大手メディアにはない個人ブログの大きな強みだと考えていますし。

 

―― そういうことでしたか…。少なくともぼくには坂本さんのその想いがヒシヒシと伝わってきました…。

逆にいうと、そういう人でも官僚になれるんですってことを言いたかったので、このインタビュー記事を通して、今までは官僚という進路に見向きもしなかったような人たちが「官僚になるためにちょっと勉強してみようかな…」と思ってくれたら、このインタビューは大成功、万々歳ですね!

 

―― ぼくもちょっと国家一種に向けて勉強してみようかな…。ぼくも官僚になれますかね…。

なれますよ!…っていうかジュロウさん、フランスで働かれるんじゃないですか。全然目指してる方向と違うじゃないですか(笑)

 

編集者のコメント
 フランス政府給費留学生としてパリの大学院に通う中、留学中の役人の方々とお会いする機会がたくさんあります。その中でも、坂本さんはぼくと住まいも近く、特段親密にさせていただいている役人さんです。お食事をご一緒したり、いろんなお話をしたりする中で、坂本さんのキラキラとした少年のような眼差しには毎度のごとく気力をいただいています。彼のような方が政府で働いているのだと思うと、日本という国をもっと好きになりたくなる、そういった輝きのある方だというのがぼくの率直な感想です。坂本さん、インタビューを受けて下さいまして本当にありがとうございました!

 

 

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