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【Q&A】オーガニック食品に関わる仕事がしたいのですが…。

2016/10/08

 

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こんにちは、パリノメモの筆者をやっているジュロウです。ツイッターはこちらです(@Parisnomemo_)。

 

さて、今のところあまり強調していませんが、ボクの専門分野は「飲食文化」や「オーガニック食品」です。このことを把握していてくださった読者の方から、「オーガニック食品」に関する相談が寄せられましたので、今回はそのことについて書いていきたいと思います。

 

相談内容 : ジュロウさん、初めてメッセージを送らせていただきます。東京の大学を卒業後、地方で就職をしたのですが、自分が興味のある「食」の分野にこれから活動をシフトしていきたいと思っています。とくに、自分の体が弱いので有機野菜や環境配慮型食料品、または地産地消などに興味があります。ただ、一時の流行的なものとしてではなく、「オーガニック」という分野でどういう形で仕事をしていけるのだろうかと迷いがあります。また、特に日本における「オーガニック」のもつ宗教性や限界が気になります。なにかアドバイスをいただけると幸いです。

 

お問い合わせをくださったのはボクと同年代の女性の方です。すごく重要な問題だと思うし、ボク自身も日々考えていることですので、「回答」という形で改めてまとめてみたいと思います!

 

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「オーガニック」における仕事の形

これは本当に難しい問題で、むしろボク自身も毎日悩んでいます。

 

 

基本的には「オーガニック食品」は、実在する物体であるため、モノを作って売ることが仕事のベースとなります。車とか時計とか、あるいはボールペンとか傘と根本は一緒です。モノを売って、それを買う人がいるから仕事が成り立つわけです。

となると、「オーガニック食品」に関わることのできる仕事は、ざっくりいうと「生産」と「販売」に分けられることになります。

もちろん、「生産」には農場での仕事や、種子や農薬の研究、あるいは農業機材の製造なども含まれるでしょう。それと同様に「販売」にも、輸送や小売り、市場調査、認証制度の整備、マーケティングなどの仕事も含んでしまってもいいと思います。

経済学には精通していないので、あまり深入りをすると批判を受けそうなのですが、モノを作って売る以上、その周辺には無数の仕事が生まれるのです。トヨタだって、車作って売るだけが仕事じゃなくて、最高の車を作るための研究と、その車を買ってもらうためのマーケティングまで全部含めて仕事としているわけですよね。

 

なんだ、オーガニック食品に携われる仕事はたくさんあるじゃないか!!

 

…と、そう思ってしまいそうですが、じつはそうでもありません。というのも、市場規模が小さすぎるからです。

ちょっとデータを引用すると、以下のとおりになります。引用元は明治大学のゼミナールの論文です。

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つまるところ、日本は欧米の国とくらべて、食品全体におけるオーガニック食品の割合もほんのちょっぴりしかないし、国民がオーガニック食品消費につかう金額もほんのちょっぴりしかないわけです。

※たまたまこの論文を見つけたのでここから引用しましたが、農林水産省とかJETROとかIFOAMがほかにいろんな充実した資料を公開しているので検索してみてください。

 

こんなほんのちょっぴりしか市場が動いてない以上、「オーガニック食品」に関わる仕事も当然ほんのちょっぴりしかないということになります。

だからといって諦めるわけにはいかないので、そうなると必然的に市場を広げる仕事というのが可能性として浮上してくるわけです。

 

市場規模は小さいけど、それに関わる仕事をしたいとなると、市場規模を広げる仕事をすればいいというストレートな発想です。

 

市場を広げる仕事となると、もちろん「大地を守る会」や「提携運動」のような生産と消費をつなげる流通インフラの整備も選択肢のひとつですし、その他にもITメディアを活用したマーケティングも当てはまるでしょう。

とくに、どの産業でもそうではありますが、ITメディアの活用はけっこう可能性があるのではとボクは思っています。

 

たとえば、開設から1年半で月間45万PVくらいに到達しているオーガニック・ライフスタイルを提案するWEBメディア「IN YOU」なんかは、オーガニック食品の市場を拡大する手助けをしているうえに、そのこと自体が仕事になっています。

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IN YOU

 

まぁ、どの分野もそうではあるんですが、こうしたITメディアを利用した市場参入はとくにオーガニック食品市場では求められている気がします。農産物を消費するのは主に都心の人々だし、周知の事実ですけど都心の人々の主な情報入手媒体はインターネットだからです。

 

 

 

日本における「オーガニック食品」の宗教性と限界

日本で「オーガニック食品」があまり普及していない理由は、なんといっても「イマイチよくわからない」というイメージが消費者にあるからだと思います。

日本有機農業研究会が行った国内消費者の意識調査によると、「有機農業」という言葉を聞いてイメージに浮かぶものとして、「安全・安心」や「環境にやさしい」や「健康によい」などのキーワードが挙げられたようです。それはそのとおりだと思うんですが、興味深かったのは「よくわからない」というキーワードも挙げられたということです。しかも10%もの人が。

 

「よくわからない」ってなんだ(!)

 

 

いや、そうです、よくわからないんです。ボクだってよくわからなかったし、なんなら今もよくわかっていません。オーガニック食品って一体なんなんだ…。

 

オーガニック食品がなんなのかを書いていたら論文級の分量になってしまうので避けますが、日本ではまだまだオーガニック食品に疑心暗鬼の視線が向けられているのです。

本当に体に良いのかとか、環境を保護してなんになるんだとか、オーガニック食品にはどうしてもまだまだ説得力がなくて、積極的な購入のモチベーションをもつことが難しいのです。

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Googleで「オーガニック食品」って検索すると、「オーガニック食品って本当に買う価値あるの?」や「オーガニック食品ってほんとに体にいいの?」などの記事が上位表示されるのって、けっこう象徴的ですよね。

 

そんなよくわからないものを消費するとなると、今回相談してくださった方のおっしゃるとおり、どうしても「宗教性」というモチベーションが必要になっている現状が日本にはあるとボクも思っています。よくわかんないけど、オーガニック食品を消費することはきっと良いことなんだ!っていう信奉がなければ、どうしても消費にはつながらないんですよね。

 

実際問題、健康保全と環境保護のために、農業をオーガニック化させる必要があることは、もうけっこう分かりきってるレベルの事実ではあります。モンサントの映画とか見てみてください。

 

でも、不明瞭なモチベーションが、継続的にオーガニック食品の消費を引き起こしてくれるとはボクには到底思えません。限界があるでしょう。いくら農薬とか除草剤が危ないと叫んだって、実際に買い物をするスーパーではそんな声は届きません。健康のためならまだしも、生活費を切り詰めてまで環境を守ろうとは思わないわけです。

経済的に余裕がないとオーガニック食品は買えない以上、他になにか根源的なモチベーションが必要だということがよくわかります。

 

 

その点、フランスに来てみて気づいた面白い事実があります。

それは、「おいしい」からオーガニック食品を購入するという消費者の動向です。

 

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上のグラフは、Agence Bioというフランスの有機農業振興機関が消費者のオーガニック食品購入動機を調査したものです。

1位と2位には例のごとく環境保護と健康保全がランクインしているわけですが、それと同等のパーセンテージで「品質と味(qualté et le goût)」という項目がランクインしています。複数回答のアンケートにすると「品質と味」は1位にランクインしたりもします。

 

これ、見過ごされがちですが、けっこう革命的な購入動機だと思いませんか!?

 

「おいしい」って、完全に快楽を感じるための購入動機ですよね。こんな根源的で継続的なモチベーションは他にはないと思います。だって、快楽ですよ!お金を払ってでもみんなほしいですよね。

 

 

そもそもオーガニック食品を生産する運動自体が、農薬や化学肥料の乱用に反対する形で始まったものではあります。

でも、それだと、なにも被害を受けていない一般消費者からしてみれば、ほんとに環境と健康にいいのか?と疑心暗鬼になってしまうのは当然のことです。

だから、この「おいしいから」という根源的なモチベーションに一度目を向けてみることはめちゃくちゃ重要なんじゃないでしょうか。

 

本当においしいのかよって言われそうですけど、「おいしい」っていうのはその文化その社会で変わってくるものであって、少なくともフランスではオーガニック食品が「おいしい」とされている事実に着目するべきなのです。

※ちょぴっとだけボクの研究を紹介しちゃうと、じつはこれ「ワイン文化」が原因なんじゃないかってボクは仮定しています…。ワインってやたらと「産地の味」に価値がおかれているから、農薬とか化学肥料を使わないで生産すると「おいしい」と思われるワインになるんですよね。

 

日本でもいまはやっと一部の食品(やっぱりこれもワイン)においては、オーガニックな方法で生産をすると「おいしい」っていう価値観が誕生してきています。

 

このことを軽視せずに、しっかりと検討することによって、オーガニック食品の継続的な購入動機を定着させることができるのではと個人的には思っています。

 

急ぎ足で書きましたが、以上が、相談していただいた内容へのボクなりの見解となります。今後、オーガニック食品関連の記事も増やしていきたいと思います。

 

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