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偉大なる仕出し屋フィリップは言った「若者よ悩んだら歩きなさい」

2016/12/18

 

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こんにちは、パリノメモの筆者をやっているジュロウです。ツイッターはこちらです(@Parisnomemo_)。

先日、ノルマンディー地方のサン・ロ(Saint-Lô)という地方地域に2泊3日で滞在してきました。

というのも、とあるきっかけで知り合ったノルマンディの有機農家&オーベルジュのオーナーであるフィリップさんに招待をされたからです。

今回は、そんなフィリップさんとの会話を振り返りながら、フィリップさんの紹介をしてみたいと思います。

 

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知り合った経緯

ノルマンディで有機農業を営みながらオーベルジュを経営しているフィリップさん(58歳)とは、パリで行われた有機農業に関するセミナーで知り合いました。

※ 簡単に言うとオーベルジュとは地方にある宿泊施設なども併設したレストランのことを指します。

 

 

ボクはパリの大学院で有機食品文化について研究をしているので、その延長でこういったセミナーに参加をしてみたというわけです。

もちろんボクのような学生だけでなく、研究者や農家、あるいは役人なども参加をしていたセミナーです。

フィリップさんもそこにいたのです。

 

1日中続くセミナーだったので、昼食の時間帯には懇親も兼ねて簡単な立食での食事が提供されました。

一人しかおらず目立っていたであろうアジア人のボクにフィリップさんは話かけてくれました。

なんでも、フィリップさんは日本に13年間暮らしたことがあるようで、日本語も堪能、日本と韓国のハーフを名乗るボクに興味をもってくれたようです。

とくに、日本人でフランスの大学院に入ってまで有機農業について学んでいる学生など初めてらしく、そこに関心を抱いてくれました。

 

ノルマンディで有機農業をしながらオーベルジュを営んでいるから、今度遊びにいらっしゃい

 

フィリップさんは自身のオーベルジュにボクを招待してくれたのです。

今回はノルマンディ滞在はそうして始まりました。

 

フィリップさんのオーベルジュ

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中央に立つのが仕事中のフィリップさん

フィリップさんの営むオーベルジュ(Auberge Paysanne:オーベルジュ・ペイザンヌ)は、ノルマンディ地方のサン・ロ(Saint-Lô)という小さな地域にあります。フランスの北西部、モン・サン・ミッシェルから車で1時間の距離です。

パリからは列車で3時間の場所です。決して交通の便が悪い地域ではありません。

 

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赤丸がサン・ロ、青丸がパリ

 

2000年にオープンをして以来、口コミで広がり、現在はフランスの有機関係者や旅行者、その他日本人なども含め、多くの人に利用されています。

 

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オーベルジュの入り口

 

フィリップさんのお仕事

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フィリップさんの飼育するオーガニックの豚

フィリップさんはオーベルジュを経営しているだけではありません。自分で野菜や果物を作ったり、また豚を育てたりする有機農家でもあり、イベントや大きな会に手作りの料理を届ける仕出し屋(Traiteur : トレトゥール)でもあります。

さらに、長年の仕出し屋としての経験を活かして、主に学食や社食(Restauration collective)などの分野で料理を教える仕事もしているので、フィリップさんは大忙しなのです。

 

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仕出し料理を教えるフィリップさん(左)

自分の畑で作った野菜や豚を自ら調理して、それをオーベルジュのお客さんに提供して、さらには料理を教えたりもする、それがフィリップさんのお仕事なのです。

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フィリップさんの畑の一部:有機栽培されている野菜は甘くておいしい

 

フィリップさんの若い頃

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厨房で包丁を研ぐフィリップさん

そんなフィリップさんの若い頃は、豊富な経験に満ちています。

ノルマンディの農家で生まれたフィリップさんは、フランスで料理関係の学校を卒業したあとに、3つのレストランで2年間働き、その後の20年間を外国で過ごします。カナダ・アメリカ・オーストラリアなどの英語圏はもちろん、アフリカではサファリのガイドをしながら5年間を過ごしました

さらに日本には合計13年間暮らしたことがあるというのだからさらに驚き。日本語にはアクセントがなく、目をつぶって聞くと本当の日本人のように思えてしまいます。

フランスレストランで働いたり、仕出し屋の会社を自ら立ち上げた(!)日本には、なんでもシベリア鉄道に乗っていたら偶然たどり着いただけで、もともと来る予定はなかったようです。

1980年代に日本についたため、物価があまりに高く、帰りの交通費も無かったため、そうやって自分で生計を立てるしかなかった日本には、予期せぬ形で、野菜や穀物、魚を中心とした良質な食事に魅了される形になり、なんと合計13年間も滞在してしまったといいます

人生というものに悩み、旅をして、世界を見て、ただひたすらに「自分」というものを追求したフィリップさんの表情には、一切の迷いがなく、また全てを受け入れる器の大きさが伺えました。

 

「悩んだら歩きなさい」

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フィリップさんのもとには、ボクのようにときどき訪れる日本の若者がいるようです。多忙ではありますが、こういったひょんな縁は大事にしてくれています。

今までフィリップさんのもとに訪れた何人かの日本の若者は、フィリップさんの大きさに触れたからか、人生の悩みについて幾度か相談をすることがあるようです。

自分がこれから何をすればいいのかわからない、何をするべきなのかわからない、そういった誰しもが抱く悩みをフィリップさんに打ち明けるのです。

 

ボクもその一人でした。

パリに来てから2ヶ月が過ぎ、目まぐるしくいろんな情報が入ってきて、目まぐるしくいろんな人と知り合い、世界にはいろんな人、いろんな活動があるんだなと知ったボクは、しばしば自分のこれからの活動をなににフォーカスするべきなのか、焦点が定まらないことがしばしばあります。

フィリップさんにならなにかのヒントをもらえるかもしれないと思ったボクは、そんな悩みを打ち明けてみたのです。ボクはこれから何に進めばいいのかと。

 

悩んだらとにかく動きなさい

 

フィリップさんの答えはいたってシンプルでした。

 

なにか作業をするのもいい、どこかバーに出かけてみるのもいい、日本に帰ったら空港から家まで歩いて帰るのもいい、ただ単に外を歩き回るだけでもいい、とにかく動いてみなさい。そうすれば、脳が動き、見えてなかったことが見えてくる。脳はどんどん新鮮になっていく。そのうちきっと自分のことがよくわかってくる

 

そういったシンプルな回答は、人生に苦悩し、多くのことを見てきたフィリップさんであるからこそ、形容できない重みのあるものでした。

同時に、静かでなんの混じりけのない平和の象徴であるかのようなオーベルジュと、その隣にある畑は、ただ平和なだけではなく、人生のつらさも楽しさもすべて通り過ごしてきたフィリップさんのものだからこそ、根拠のある平和を感じさせてくれているのだと思いました。

フィリップさんによると、20代のうちはずっと悩み続けるものだといいます。それが普通であると。

だから、30歳までは、とにかく動き続けていろんなことを経験するべきだそうです。

自分に関係のあることでも、関係のないことでも、とにかくなんでもいいから多くのことを経験していくうちに、30歳ごろには「自分」というものが見えてくると、それが彼の経験を根拠にしたボクへのアドバイスでした。

 

収入はどうすればいいんだろう、まともに就職ができなくなってしまうのでは、安定した生活ができないのでは、そんな若者ならではの悩みをすべて拭えたわけではありませんが、それでもボクの中になにか大きな温かみが注入されたように思えました。

 

悩んだら動く。悩んだら歩く。

それを続けていくうちにきっとなにかが見えてくるはずだと、そう信じてみたくなる人間の大きさがフィリップさんにはありました。

 

次回は、フィリップさんのオーベルジュや有機農業によりフォーカスして、また別の記事を書いてみたいと思います!

長くなりましたが読んでくださりありがとうございました。

 

フィリップさんのオーベルジュのホームページはこちらから。日本語の概要やブログは日本人の奥様が書かれているようです。

 

 

 

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