パリにある数多くある高等教育機関のうち、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)の修士課程に第一希望で入学出願をし、合格をもらうことができました。今回は、ボクが入学をする予定である、ソルボンヌ大学について簡単に紹介をしてみます。

こんにちは、パリノメモの筆者をやっているジュロウです。ツイッターはこちらです(@Parisnomemo_)。
Campus France(フランス政府留学局)を通して各高等教育機関に出願した学生たちは、まさにこの時期、合格通知や不合格通知を通達されています。ボクもその例外ではありません。
ボクの場合、幸運にもいくつか申請をしていた大学のうち、第一希望としていたソルボンヌ大学修士課程・地理学科・飲食文化研究コースから合格通知をもらうことができました。
【Campus France(キャンパス・フランス)とは?】
見づらいかもしれませんが、ボクが申請した教育機関のリストと、各校の合否判定です。一番上が第一希望のソルボンヌ大学で、合格をもらうことができました。そもそも、意地でもソルボンヌ大学の修士課程に入学するつもりだったので、その他の学校はろくに調べもせず適当に出願しました。そのため、本来ボクがやりたい研究は有機食品を中心とした飲食文化に関することなのですが、ツーリズムやホテル産業など、あまり関係のないところにまで出願をしていたため、不合格通知が多いです。しかし、適当に出願した割には、ソルボンヌ大学以外にも、トゥール大学やアンジェ大学からも合格通知をもらうことができました。
まだ書類手続きがいくつか残っているため安心はできませんが、ひとまずの合格通知をもらったということで、今回はボクがこれからの学びの場所として選んだソルボンヌ大学について少しだけ綴ります。
ソルボンヌ大学とは?
ソルボンヌ大学とは、第13大学まで独立してあるパリ大学のうちの1つであり、別名、パリ第4大学と呼ばれます。神学者であったロベール・ド・ソルボンが、1257年に貧しい学生のために建てた学生寮(ソルボンヌ学生寮)の名が受け継がれた大学です。
ちなみに、「ソルボンヌ」の名称を引き継いでいる大学はパリ市内に3つあり、パリ第1大学(パンテオン・ソルボンヌ大学)、パリ第3大学(ソルボンヌ大・ヌーベル大学)、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)がそれにあたります。
文学、言語学、文化学、芸術、人文科学、社会科学に特化した大学であり、パリ5区のカルチエ・ラタン(学生街)と呼ばれる中心地に位置しています。
ソルボンヌ大学が日本向けに積極的に発信しているプログラムとしては、ソルボンヌ大学附属の語学学校が提供している「文明講座」というものが挙げられます。ソルボンヌ大学の「文明講座」では、平均20名程度のクラスで、フランス語やフランス文明に関わる講義が行われています。ただ、さすがにパリの中心地にある学校の講座だけあって、半期(週20-25時間)で2000-3000€程度と、学費はそこそこかかるようです。
「文明講座」に関する情報は、下記のサイトに詳細がのっています。
一方、そういった講座ではなく、ボクのように正規にソルボンヌ大学に入学をする場合は学費は一切かかりません。入学の際に登録料として400-500€がかかるだけです。ちなみに、ボクの場合は、ブルシエ(フランス政府給費留学生)として留学をするので、この登録料も免除されます。日本円にして4万円-5万円なので、この免除は地味に大きい……。
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そんなソルボンヌ大学の数ある学科のうち、ボクが修士課程に登録した学科は地理学科(Géographie)です。専攻コースは、飲食文化研究コース(Alimentations et Cultures alimentaires)です。
ソルボンヌ大学の地理学科・飲食文化研究コースとはどういったものなのか、次に説明をしていきます。
飲食文化研究コースとは?

ソルボンヌ大学の地理学科にある飲食文化研究コースとは、2010年に新設された、飲食というテーマに特化した専攻コースです。このコースに入学すると話すと、多くの人から「料理人になるのか」と質問をされますが、このコースは料理人を養成するものではなく、あくまで学問的に「飲食」というテーマを捉えることを目的としています。つまり、「飲食」を文化的に研究しようというわけです。
地理学科・飲食文化研究コースは、食物、環境、文化の関係性というテーマに対して学際的なアプローチを行っている。また、この学科は、全ての尺度で、土地・領土および飲食物とそれらの関係、飲食物の需要と供給において機能している物理的・社会的・経済的・政治的要因を検討の対象としている。
「物理的・社会的・経済的・政治的要因」と書かれているのが象徴的で、この学科は「どの食材が口の中でどういった風味を引き出して……」といったことを勉強する場所ではなく、むしろ「この食材が、いつ・なぜ・どうやって・どこで・だれによって口に運ばれるにいたるか……」ということにフォーカスしているわけです。
こうやって説明するとあまりに抽象的なので、ボクの研究テーマを例にあげてみましょう。ボクの研究テーマは、一言でいうと「有機食品」に関わることです。早稲田大学の学士課程で卒業論文のテーマとして行った研究はワインにフォーカスされたものであり、「有機ワインはどのように人々に受容されているのか」をひも解こうとしました。ソルボンヌ大学では、「パリにおける有機食品の受容のされ方」という研究テーマを掲げたいのですが、有機食品文化の日・仏比較あるいは日・仏・韓比較をやってみてはどうかと、指導教授に提案されています。
実際にこの学科で提供されている講義をいくつかピックアップすると以下のようなものがあります。
- 「食べ物の歴史」
- 「市場と流通」
- 「食べ物と権利」
- 「フード・ジェオグラフィ」
- 「食糧資源と飢餓」
- 「製品と品質保証ラベル」
- 「フードツーリズム」
どんな学校を出たところで人の人生がどうなるかなんてわからないものですが、一応この専攻コースが「卒業後の進路」として紹介しているものとしては、「教育機関」、「調査機関」、「貿易会社の食品セクター」、「食品メーカー」、「文化遺産振興機関」、「省庁などの国家機関」、「文化遺産に関わる公共団体(ツーリスト・オフィス、地方産業に関わる組合など)」、「個人事業」などがあります。
とある韓国人の知り合いは、料理人になるうえで、飲食に関わる文化的教養を身に着けたいという理由で、この学科を卒業していました。料理人になるために、単なる料理技術だけを習得するだけではなく、専門教育機関で学問を修め、フランス語で約100ページに渡る修士論文を書き上げたのですから、賞賛に値するでしょう。
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今回は、ソルボンヌ大学からの合格通知を受けて、改めて自分が入る大学と学科について簡潔に書いてみました。まだ、全てのことが決定したわけではないので、学生ビザの申請についてや、その他の留学準備に関わる情報は随時発信していきます。
ちょっと高知で講演するため、ソルボンヌ大学の飲食のマスターコースの設立が何年か調べていて、かつてはかんたんにフランスのグーグルに情報があったのに、15分ほど検索しても結局わからず、日本語で入力して、前田さんのブログでわかりました。
うちの上さんが、「こんなブログやってんだ。えらいね」との賜っておしました。
そちらでの生活はいかに?
今年も8月末から9月中頃まで、ブルゴーニュに滞在するつもりです。
福田先生
コメントありがとうございます。驚きました。
ちょうど、近況をお伝えしようと思っておりましたので、メールにて改めてご連絡いたします!
こんにちは。
仏語圏アフリカに今後も関わりたいと、私もフランスへ留学を検討していて、こちらのサイトが参考になりました。